東博で開催される新指定の国宝・重要文化財展がゴールデンウィークを挟んだ日程での開催に戻った。コロナ禍で博物館全体の休館や、ソーシャルディスタンスの強要、混雑回避など様々な制約があったことから、開催時期が不安定だったが、ようやく元に戻った。 …
金沢文庫の2階では国宝文選集注といただきもの!?展を開催していた。 いただきものとなっているが、要は寄贈品のこと。文選集注を永遠に寄託を受ける条件として、それを地域で保管するというもので、県立の施設を作って金沢文庫が復興した。金沢文庫が誕生…
3月下旬より金沢文庫で開催されている「国宝文選集注といただきもの!?」展にようやく行くことが出来た。春休みやゴールデンウィークは鎌倉や横浜などで観光を楽しむ人であふれていると思い二の足を踏んだため、遅まきながらの遠出となった。 金沢文庫には…
京博の雪舟伝説へは発表があった時から行くことに迷いはなかった。ただ、これまでの雪舟の作品展とどれだけ違うのかが心配だった。その点では3階で雪舟作品、ほかで伝雪舟作品や(模写を含め)影響を受けた作家たちの作品が並んでおり、憧れの作家であった…
天長印信とは、天長3(826)年3月5日に弘法大師空海が高弟の真雅に授けたといわれる奥義伝授の証明書(印信)のことで、醍醐寺座主かつ三宝院流正嫡のみが相伝できる至ものである。ただ、空海が伝えったものでなく、偽書であることが定説となっている。 とは…
日本で描かれた大陸風の山水図の多くは写生ではなく創造して描かれている。当たり前だが、大陸へ渡ること自体が非常に困難な時代に、画業のために渡航するのはよほどのパトロンがいなければできない。雪舟が大陸へ渡ったことを誇らしく賛に書いたのものその…
高野山霊宝館創設100周年記念展示会では真言仏教の至宝が惜しげもなく出品され、目を楽しませてくれた。その中で、一番煌びやかな仏画が伝船中湧現観音だった。 伝船中湧現観音は空海が入唐の際、嵐を鎮め、航海の安全を守るため出現したと伝えられる。空海…
雪舟が画家たちの憧れの対象となった作品は毛利家所蔵の四季山水図巻があったことが大きい。中国地方の名門・大内家の庇護のもと、雪舟は画業に励んだが、戦国時代の下剋上により盟主は毛利家へと移った。その際に毛利家が入手したであろう山水図は雪舟の記…
奈良博で開催中の「空海 KUKAI - 密教のルーツとマンダラ世界」。展示会の中盤に差し掛かってようやく今回の主役・神護寺の両界曼荼羅が登場した。奈良博で巨大な曼荼羅図を展示できるショーケース(そのために作ったとも思える)が西新館にあるため、導線…
画聖(カリスマ)の誕生と銘打った京博の雪舟伝説。大陸へ渡った際に描いた雪舟の作品が東博所蔵の四季山水図で、3階で展示している国宝6件と一緒に陳列していた。四季山水図には自己主張強めに日本禅人等楊の款が書かれている。日本から渡来した禅僧では…
請来目録は大陸からもたら(輸入)した品目を箇条書きで記したもので、歴史的価値があるとして伝教大師将来目録とともに国宝に指定されている。目録の他に同じように資材帳なども国宝の指定を受けているが展示される機会はそれほど多くない。なにせ、地味だ…
つつじが見ごろとなっていた京博。至る所で咲いており、白黒の水墨画を見た後だと、華やかさが倍増して見えた。 さて、雪舟は室町時代の水墨画家で、相国寺の周文に水墨画を学んだ。周文は如拙から室町幕府の御用絵師を引き継ぐ技量があったが、相国寺内では…
奈良博で開催している「空海KUKAI―密教のルーツとマンダラ世界」は第3章でようやく空海関連の宝物が登場。前期のみ出品だが、聾瞽指帰の下巻を展示していた。24歳の頃に執筆したとされる書なので、密教との接点のない時代の著作物である。唐に渡り、密教…
2024年春の京博特別展はずばり雪舟伝説。雪舟の国宝6点をすべて展示。しかも、全期間(開催期間は短いが)で公開される。国宝だけでなく雪舟作の重文や最近見つかった倣夏珪山水図など、雪舟のすべてと謳ってもよい展示会となっている。ただ、雪舟だけの展…
奈良博で開催中の「空海 KUKAI - 密教のルーツとマンダラ世界」では珍しく西新館第4室が使われていた。4室は東新館から西新館へ移動した左側の部屋で、コロナ禍以降はほぼ使われていなかった。奈良博では比較的狭い部屋だったためだろう。コロナ禍以前は…
奈良博の「空海・密教のルーツとマンダラ世界」展では智証大師・円珍に関連した文書典籍のうち梵夾が展示されていた。第二章の「密教の源流̶陸と海のシルクロード」の入り口すぐ、一番最初の展示物であった。第一章が奈良博東新館を使ったマンダラ世界の再現…
真言宗で重要な儀式のひとつが御七日御修法である。今年の1月、儀式が終わった後に公開される現場を見に行った。両界曼荼羅を初め、法具や十二天像などが用いられていた。その中心にあったのは五大尊像。正面に五大尊、左右に両界曼荼羅が掲げられていた。2…
奈良博で開催中の「空海 KUKAI - 密教のルーツとマンダラ世界」展の第1章(密教とは̶ 空海の伝えたマンダラの世界)は、東新館2階の展示場全体を使ってマンダラ世界を再現していた。奈良博で一番広い会場全体を使っているにも関わらず、9件(点数はもっ…
奈良国立博物館で開催されている「空海 KUKAI - 密教のルーツとマンダラ世界」展は、仏教美術の殿堂である奈良博の企画力を遺憾なく発揮された素晴らしい展示会となっていた。 事前に知り得た情報では、この展示会の目玉は神護寺の国宝・両界曼荼羅が修繕後…
興福寺の五重塔の修繕工事が始まっている。ソメイヨシノが散り切った時期に訪れたが、工事現場へ入れないように囲いが出来ていた。まだ、五重塔は覆われていないが、しばらくすると全体が覆われるだろう。薬師寺東塔の修繕工事はかなりの期間がかかったが、…
兵庫県加西市にある一乗寺を訪れる際、乗ったバスから桜が満開となった姫路城が見えた。帰路に行くしかないと思い、最寄りのバス停で降りた。 姫路城は写真に見るように快晴に誘われて多くの人で賑わっていた。城の目の前にある公園では多数ある木下でブルー…
播州にある一乗寺の宝物館は基本的に2週間前までに予約が必要で、行ったから見ることが出来るシステムではない。ただ、例外があり4月と11月の第1日曜日は事前予約なしで見ることが出来る。ちょうど桜か紅葉の見ごろの季節で、それに合わせる形で見に行…
国宝の建築物はたいていの場合は現地に行けば見ることができる。なので、国宝巡りをする上で、近くに行ったついでに見ることが多い。数をこなすうちに国宝建築物の大半を見ることが出来た。これまで国宝を単に観ることに主眼をおいて見てきた。ここらで付加…
国宝とのかかわりという意味では少し遠く感じた作品であった。 現場で見た時は題名の通りライオンと村上隆の作り上げたキャラクターが並ぶ作品だとしか思えなかった。ところが帰って画面上で写真に撮ったライオンをじっくりと見ると獅子に見えた。背中に乗せ…
4月13日から京都国立博物館で始まる雪舟伝説では、雪舟が描く国宝6点すべて展示される。雪舟の慧可断碑図も展示される予定だが、村上隆が描いたら写真のようになった。 kokuhou.hatenablog.com 雪舟作品は達磨大師に対して慧可が弟子志願に掛ける信念の…
村上隆もののふ京都展に出品されている作品は約9割が新作だそう。京都にあった作品が並んでおり、それぞれ見ごたえがある。 村上隆は東京藝術大学大学院美術研究科の日本画科で初めて博士号をとった人物である。その思考から日本美術の平面性とアニメーショ…
「村上隆 もののけ 京都」展で洛中洛外図の次に見ておきたかった国宝オマージュ作品は風神図と雷神図であった。 俵屋宗達の描く風神雷神図は屏風絵で、三十三間堂にある彫刻の風神・雷神を参考に描かれたとされる。力強さとユニークな表情が特徴の作品である…
入り口に展示している「洛中洛外図 岩佐又兵衛 rip」の反対側の壁は尾形光琳オマージュ作品が並ぶ。 尾形光琳の燕子花屏風絵に見る同じデザインを繰り返す美しさは展示会のメインビジュアルにも使われている顔が描かれた花を大量に複製して配置するのに似て…
takashimurakami-kyoto.exhibit.jp 京都市京セラ美術館で開催している「村上隆 もののけ 京都」展(2024年2月3日から9月1日まで)と聞いて、現代アート作家の作品展なのだろうと決め打ちしていた。もちろん、現代アート作品展であることは疑いようがないが、…
原則として国宝のみを取り上げたサイト運営をしているが、国宝を観てきたから感動できた展示会に出会えた。 京都市京セラ美術館で開催中の「村上隆 もののけ 京都」展である。 展示会は入場料がかかるや鑑賞する時間がないという人は京都市京セラ美術館の訪…