国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

東大寺金堂鎮壇具 東大寺

奈良博で毎年行われているお水取り展を見に行った。そこで、東大寺ミュージアムで行われている「二月堂ー修二会を支える法会空間ー」を合わせて観覧すると散華がもらえるとの情報をゲットし、久しぶりに東大寺ミュージアムへ入った。 東大寺には度々訪れてい…

【密教マンダラ】金剛般若経開題 空海筆 奈良国立博物館

金剛般若経開題は空海が密教の立場から能断金剛般若経を解釈した草稿。京博にも断簡が残っている。文字は草書と行書が混じっていて、行間に加筆や文字訂正の跡がある。考えながら書いた書で、空海も草稿が世に出て国宝になるとは思っても見なかっただろう。 …

【密教マンダラ】錫杖頭 善通寺

密教をもたらした空海だが、人々の信仰心を醸成したのは土木の分野であった。高野山に一大修行場所を作ったり、ため池を作ったり、レアな鉱物を探したりと地質学的な分野で大活躍している。20歳代に修験道のように山々を歩き回って修行したとされており、…

【密教マンダラ】灌頂歴名 空海筆 神護寺

神護寺の寺宝・灌頂歴名は国内の密教創世記を語るにはなくてはならない書である。 遣唐使として大陸に渡った最澄と空海。エリートとして渡航した最澄は国内に戻ってからは南都仏教に対抗する新興教団を作り上げた。片や空海は紆余曲折はあったが、密教を持ち…

【密教マンダラ】諸尊仏龕 金剛峯寺

高野山金剛峰寺が所蔵する弘法大師空海ゆかりの三大秘宝のひとつが諸尊仏龕である。(ほかは聾瞽指帰、金銅三鈷杵(飛行三鈷杵))モバイル型の仏壇で、観音開きの内部に細かな彫刻で仏たちを彫っている。 空海関連の展示会では3点がセットで展示されること…

【密教マンダラ】聾瞽指帰 下巻 金剛峯寺

聾瞽指帰は空海が若かりし頃に仏教の素晴らしさを説いた書である。聾瞽指帰の名称は最初の上巻に書いた言葉から抜粋して命名されている。なので、下巻のみの展示は少し残念。鳥獣戯画図でウサギやカエルがいない丙巻・丁巻のみの展示のようだ。 レア★☆☆観た…

【密教マンダラ】五智如来坐像 安祥寺

京博1階に長らく展示されていた安祥寺の五智如来坐像。ここ最近は特別展などがあってか見ていないと思ったら、奈良博の特別展へ出品されるようだ。仏教美術の殿堂である奈良博では国宝に指定されて初めてのお披露目となる(京博以外の展示が初めて)。 京博…

【密教マンダラ】両界曼荼羅 (西院曼荼羅 ) 教王護国寺

国宝の両界曼荼羅図は神護寺、子嶋寺、東寺所有の3件ある。どれも寺院の平面一杯に掲げるような大きさで作られていて、かなりの展示スペースが必要となる。今回の展示会では神護寺と東寺の曼荼羅図が同時に展示されそうだ。 昨年秋に東寺の宝物館でも弘法大…

【密教マンダラ】両界曼荼羅 (高雄曼荼羅) 神護寺 

4月13日から6月9日まで奈良国立博物館で空海生誕1250年を記念した展示会「空海 KUKAI - 密教のルーツとマンダラ世界」が開催される。 展示会の目玉は神護寺が所蔵する巨大曼荼羅図で、最も古い両界曼荼羅が修理を終えて寺外初公開となる。昨年の5月に…

【雪舟伝説】慧可断臂図 雪舟 斉年寺

慧可断臂図は雪舟の国宝の中では最も新しく国宝指定を受けた作品である。2004年なので、国宝指定20周年となる。 他の国宝作品はすべて山水画や鳥観図など、風景画が国宝となっているが、これは人物画である。縦が1メートル近くある大きな作品で、慧可…

【雪舟伝説】天橋立図 雪舟 京博

2021年冬に岡山県立美術館で開催された雪舟と玉堂展では7点の国宝が出品されていた。その内の5点は雪舟の作品であった。雪舟の国宝は6点ある。出ていなかったのは天橋立図である。 京博所蔵のため、その年の夏にあった京の国宝へ出品されていたので競…

【雪舟伝説】四季山水図巻(山水長巻) 雪舟 毛利博物館

雪舟は長さ16メートルの巻物に四季の変化に富んだ山水画を書いた。 2023年の春に開催された重要文化財の秘密で出ていた40メートルもの長さの巻物に描かれた横山大観の生々流転を初めて見た瞬間に、四季山水図巻を思い出した。長尺の絵巻物のトリッキ…

【雪舟伝説】破墨山水図 雪舟 東博

これも山水図と同じく、賛が見どころ。禅僧6名が賛を書いている文字だらけの掛け軸になっているが、その下に雪舟本人が賛をしたためている。まさに自画自賛の作品。内容も雪舟自らの経歴を書くという、雪舟好きにはたまらない。修行を終えた弟子に宛てた作…

【雪舟伝説】山水図 雪舟

この作品の見どころは賛の部分だ。賛とは描かれた絵に関して詩歌や文章を画面の中に記すことである。山水図では牧松周省と了庵桂悟が賛を書いているが、了庵桂悟の賛に雪舟逝と記されている。この賛を書いたのが1507年で、画賛は没後に間を置かずに書くこと…

【雪舟伝説】秋冬山水図 雪舟 東博

4月13日~5月26日の期間、京都国立博物館で「雪舟伝説」と題した展示会が開催される。雪舟作品で国宝指定を受けている6点すべてが公開されると発表され、展示リストの一部も公開され、今から楽しみな展示会である。東博のやまと絵展が煌びやかで華や…

後七日御修法

真言宗で最も重要な儀式のひとつである後七日御修法は教王護国寺(東寺)の灌頂院にて1月8日~14日まで行われる。鎌倉以降に拡大した仏教宗派が個人の帰依(ミクロ的な大衆仏教)に対する教えを説くのに対して、真言宗は(マクロ的な)国全体を護るため…

四天王寺縁起 四天王寺

四天王寺の中心伽藍は入場にお金がかかる(ただし、縁日である21日、22日は無料で入れる)。そのため、参拝者の多くが参るのは六時堂である。その六時堂が写真のように改修工事に入った。戦後に復興されたお堂でかなりボロボロであったのは参拝した誰しもが…

懸守 松喰鶴文 四天王寺

懸守は平安時代の高貴な身分の女性が懐に忍ばせていたお守り。手のひらサイズの俵型の小物で、中には念持仏が入っている。表装には凝った装飾が施されている。1月17日までは松と鶴がデザインされた松喰鶴文、その後は桜透丸文が展示される。 NHK大河は紫…

扇面法華経冊子 四天王寺

新春恒例の四天王寺の宝物館公開は聖徳太子生誕1450年を記念していた企画であった。国宝では扇面法華経冊子が例年の公開であり、才子訪佳人図が出ていた。光るの君へが今年度の大河ドラマとなっているので、平安貴族が描かれた図柄を展示したのだろう。 …

唐門 豊国神社

京博はたびたび訪れているが、久しぶりに豊国神社を参拝した。京博とは地続きの神社で、京博の西門から出るとすぐであるが今は閉鎖中なので回り道をして行った。 豊臣秀吉の派手好きを体現するような唐門で、豪華な装飾が散りばめられている。正月らしさと言…

金銀鍍宝相華文経箱 延暦寺

2024年の大河ドラマは紫式部を主人公にした平安貴族の物語。国宝を知る前まではなんとなく雅やかな異世界の話と思い込んでいた。しかし、平安時代の延長線上に今がある。それを伝える文化財は山ほどある。知識として歴史の教科書で習った平安時代に造ら…

本殿 八坂神社

2024年はコロナ禍が落ち着いた久々の元旦となった。しかし、能登半島沖での巨大地震が起き、自然の恐ろしさを改めて思い知らされた。 ハレの日を感じるべく出向いたのは八坂神社。境内には沿道に所狭しと屋台が並ぶ。から揚げなどを揚げて酸化した油のに…

一字蓮台法華経 龍興寺

2023-24にまたがる奈良博の名品展は西新館のみの展示となっている。そして、新たに修理された文化財の展示が年末年始の短期間のみとなっていた。せっかく修理されたのだから、もう少し長めの展示があってもよさそうだが、借り物がほとんどのため難しいのだろ…

経蔵(写真手前)・宝蔵(写真奥) 唐招提寺

校倉造り。中学校の時に習った建物様式で、木材を組み合わせて湿気の調節ができる仕組みに仕上げ、お宝保存に最適な建物と習った。高床式にすることで、ネズミなどの侵入を防ぐ。正倉院が代表例であるが、唐招提寺にもある。 金堂や講堂に目がいく中で、国宝…

金堂 唐招提寺

ユネスコ世界遺産「古都奈良の文化財」登録25周年を記念して発売されている6寺社共通拝観券で、これまで春日大社、興福寺、東大寺、元興寺、薬師寺と行った。残るは唐招提寺だけだった。 薬師寺には修学旅行生が来て賑やかな雰囲気があったが、唐招提寺は…

2023年を振り返って

2023年も多くの国宝を観た。今年は親鸞聖人生誕850年であったころから、浄土真宗系の一大生誕展示会が行われた。京博では各派の寺宝をこれでもかと展示。なかでも、教行信証の坂東本、高田本、西本願寺本が並ぶ展示は何度でも見比べたくなる贅沢な空間で…

東院堂 薬師寺

東院堂は薬師寺の伽藍で見ると、回廊を挟んで東塔とは真向かいに位置し、回廊の外側に立地している。そのため、かなり目立ちにく場所にあり、導線的にも東院堂を目指して行かないと見逃してしまう。 国宝の東院堂は養老年間(717~724)に吉備内親王が元明天…

東塔 薬師寺

薬師寺と言えば修学旅行生のイメージが強い。コロナ前は広い伽藍内に整列して歩く学生の姿をよく見かけた。コロナでどうなるかと思っていたが、悪ふざけをする学生姿が戻ってきていた。 戻ってきたのは学生だけではない。東塔の落慶式を終え、特別公開を見に…

極楽坊禅室 元興寺

元興寺の本堂の裏に続く形で禅室が建っている。公開されておらず、本堂に比べてひっそりしている。もとは僧坊でここで僧侶たちが寝起きしていた。若き日の空海が大志を抱いて奈良で勉学に励んでいた場所とされ、首都が平安京へ遷った後、紆余曲折の末に真言…

五重小塔 元興寺

元興寺の寺宝は本堂を正面に左手にある法輪館で展示している。行った日は秋の特別公開をしていて重要文化財の智光曼荼羅図を2階で見ることが出来た。年代物だけあってかなり色あせて見難い部分が多かったが、全体はしっかりと残っていた。曼荼羅図はごちゃ…

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。