村上隆もののふ京都展に出品されている作品は約9割が新作だそう。京都にあった作品が並んでおり、それぞれ見ごたえがある。
村上隆は東京藝術大学大学院美術研究科の日本画科で初めて博士号をとった人物である。その思考から日本美術の平面性とアニメーションなどの現代文化を接続させた「スーパーフラット」セオリーを発案して世に問う作品を出しつつけている。ポップな現代アート作家の素地に日本画があるとは想像もしていなかった。その片鱗が分かるのが、2010年作成の『雲竜赤変図《辻惟雄先生に「あなた、たまには自分で描いたらどうなの?」と嫌味を言われて腹が立って自分で描いたバージョン》』だろう。ボストン美術館所蔵の蘇我蕭白の雲竜図を想起させる構造ではあるものの、そこは村上隆が描いたものなので、ユーモラスに仕上げている。
見返り、来迎図は禅林寺永観堂の阿弥陀仏と国宝である知恩院の阿弥陀二十五菩薩来迎図を組合わせたものだと感じた。永観堂の阿弥陀様でも二十五菩薩が飛んで来ると180度振り返るぐらいの出来事なのだと勝手に想像する。