京博の雪舟伝説へは発表があった時から行くことに迷いはなかった。ただ、これまでの雪舟の作品展とどれだけ違うのかが心配だった。その点では3階で雪舟作品、ほかで伝雪舟作品や(模写を含め)影響を受けた作家たちの作品が並んでおり、憧れの作家であったことが分かった。
そして、会場は違えど京都市京セラ美術館で開催中の村上隆展でも影響を受けた画家に連なる作品を展示していた。慧可断臂図は風景画が多い雪舟作品にあってひときわ異彩を放つ作品である。雪舟作品は達磨大師へ弟子志願している慧可が自らの腕を切り落して信念を示している図で、全体的に静寂感が漂った描き方となっている。対して、村上隆の作品は達磨大師の視線から見える切り落した腕を描いており、慧可の情熱が伝わってくる。どちらも本来ならばグロテスクな構図になるところを画力を通じて信念を貫く僧侶の思いが伝わる作品に仕上げている。いつまでも憧れの画聖として、またよい教科書として雪舟作品は見られ続ける。