2023年秋の東博で開催されたやまと絵展に感化されてか、各館所有のコレクションだけでやまと絵展を開く企画が目に付く。大和文華館でもやまと絵のこころと題して同館所蔵のやまと絵たちを惜しみなく展示していた。
琳派を代表する作家である尾形光琳の扇面貼交手筥や酒井抱一の瓶花図が出ていたり、やまと絵の復古に燃える岡田為恭作品などが出品されていた。中でも佐竹本三十六歌仙絵断簡の小大君像は平安貴族の女性像を描いたもので、NHK大河ドラマの光の君へとリンクする。
国宝は本家?東博のやまと絵展にも出ていた寝覚物語絵巻が出品されていた。この作品は保存状態が悪く、絵画では人物の顔の部分が潰れてしまっている。絵巻物は見られることが前提だが、巻かれて保管されることで絵の部分はどうしても傷む。舘林藩の秋元家から原三渓へ渡り、その後に同館が所蔵することとなる。幕藩体制崩壊で名家からの売り立てられた名品で、やまと絵の原型を知るにはよい絵巻物である。