国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

観音堂 孝恩寺

孝恩寺は大阪府泉南貝塚市ある。水間鉄道に乗って、終着駅の水間観音駅を降りて歩いてニ十分ぐらい行った住宅街にある。

道中、駅名にもなる水間寺を横切る。天台宗の別格本山の地位が示す通り、かなり立派なお堂や三重塔のある格式高いお寺である。そこからさらに歩き、住宅街の路地に入ると孝恩寺がある。ちょうど川沿いの崖の上に作られたお寺で、いまは廃れているが海運の見通しが非常に良い立地である。

入り口を入るとすぐに見えるのが国宝の観音堂。浄土宗であるので、本尊は阿弥陀如来なのだが、観音堂という昔からの呼び名で通っている。そもそもこのお堂は観音寺の本堂であったのが名の由来で廃寺となったため、孝恩寺と統合されて現在に至っている。

この観音堂は別名が木積の釘無堂と呼ばれ、鎌倉時代密教建築様式で作られている。ただ、鎌倉期の金属は貴重品なので、釘を使わずに組んで建てられるのがほとんど。敢えて別名にする必要はなかったはずなので、近世になって命名されたのだろう。

国宝建築物の観音堂は普段から見ることはできる。ただ、訪れるなら春と秋に開催している宝物殿の特別公開に合わせて行くのがお勧めである。宝物殿内には重要文化財に指定されている仏像19体が安置されており、この数の重文仏像を所蔵している寺院は大阪府下では数寺院しかない。どれも美しいフォルムの仏像ではあるが、本尊であった阿弥陀三尊以外は彩色がほぼ落ちている。これは経年劣化もさることながら、火災などで焼けない様に川に沈めて難を逃れたことも影響しているそうで、火災や戦災が文化財を痛める悲しさを伝えている。国宝と共に見ておいて損はない。

国宝拝観者たちの夢、千件越えをいつの間にか達成した。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標が完結した。 次の1100件は果てしなく遠いので、1050件を一区切りにしよう。