昨年5月に訪れた平泉にある中尊寺。震災以前に訪問したことがあったが、その時は国宝に興味がなく、改めての訪問だった。観光客はそれほど多くなく、ゆったりと拝観することが出来た。もちろん、金色堂も参拝したが、お堂全体をガラス張りで囲う展示方式で、中で鎮座している仏像たちは遠くのほうでじっくりと見ることはできなかった。平泉を訪れてほどなくして、東博での特別展が発表された。何を置いても馳せ参じようと思い光悦展とのセットチケットにて見に行った。
東博本館の特別5室での開催で、部屋がそれほど大きくないこともあり、大混雑の大入り満員となっていた。一目散で見に行ったのが仏像たち。さすがにすべてが来館するのは難しいとあって、奥州藤原氏初代にして金色堂を建立した藤原清衡をお守りする一群のみが展示していた。それでも阿弥陀三尊像と地蔵菩薩立像6体に二天像(持国天、増長天)の計11体が並んでいた。現地で見た時も思ったが、阿弥陀様を筆頭に金箔が惜しげもなく貼られており、黄金の国・ジパングを象徴するかのような出来栄えであった。また、二天立像にもところどころ金箔が貼ってあったであろう残りがあり、近くで見る機会に恵まれてよかった。
仏像の背丈は思っていたほど大きくなかった。浄瑠璃寺の阿弥陀様のように近づいて観ることを前提にしておらず、あくまでも金色堂と一体となって見る仏像だからだろう。それと仏像が護っている下には奥州藤原氏の歴代当主たちが眠っているため、あまり重いものを乗せることが憚られたのかもしれない。