国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

仏画

仏涅槃図 金剛峯寺

仏涅槃図は高野山の名宝展、ラストを飾るにふさわしい作品だ。 入滅した釈迦を囲む人々(神々)に加えて、神獣たちも悲しみ悶える図は去る者が如何に慕われているかが一目で分かる。3月15日に各寺院で行われる涅槃会では涅槃図が所狭しと講堂に掛か画られ…

吉祥天像 薬師寺

天平絵画の最高傑作だと思う薬師寺の吉祥天像。薬師寺での年始御開帳を除くと、直近では昨年にあべのハルカスで開催された薬師寺展へお出ましになったが、コロナウイルス蔓延のため二日間で休止となり、見ることができなかった。そして1年が過ぎ、龍谷ミュ…

善女竜王像 金剛峯寺

高野山は夏が終わり、葉っぱがうっすらと赤みを帯びていた。いつの間にか名宝展も後半の3期が始まっていた。せっかく年間パスポートを買ったのに、真夏に行く機会を逸したので9月に入ってから見に行った。 後半の展示では前半にあったものがいくつかなくな…

【奈良博三昧】辟邪絵

奈良博三昧も後半戦に突入。前半が怒涛の国宝ラッシュだったことを思うと、被りもあり少し寂しい。しかし、奈良博でも屈指の人気を誇る辟邪絵が登場するとあっては観に行かない訳にはいかない。 辟邪絵は断簡となって5幅に分かれて保存されている。益田鈍翁…

【京の国宝】釈迦如来像(赤釈迦) 神護寺

京の国宝は3階から2階へ移動。まずは絵画部門を観る。 仏教絵画が中心になる中、十二天像4幅や十六羅漢像がいる。目を引いたのは釈迦如来像である。毎年5月の初旬に神護寺で行われる曝涼展では間近で観ることができたのだが、昨年今年とコロナの影響で公…

五大力菩薩像 有志八幡講

4月以来の高野山。雨の中の桜を堪能したのが、つい先日のことだと思っていたが時の流れは年々早くなっている気がする。時を支配することはできないが、時を感じることができる。写真には写っていないがすぐ横に六時の鐘がある。同じ時間を知ることで人々に…

天橋立図 雪舟筆 京都国立博物館

冬に岡山県立博物館で開催された雪舟と玉堂展では展示されなかった唯一の雪舟の国宝作品が天橋立図である。巨大な鳥観図はじっくり観たくなる作品のひとつ。現在でも使えそうなぐらい精密に描いている部分とデフォルメした部分が混在しているのも見どころの…

阿弥陀三尊像 清浄華院

清浄華院は京都御所の東隣で、南側は廬山寺と接している。円仁が宮中に禁裏内道場として建立されたのが始まりである。天台宗山門派と宮中をつなぐ重要な拠点である。阿弥陀三尊像は数少ない南宋仏画の中でも優れた作品。普段から国立博物館に寄託されている…

釈迦如来像(赤釈迦) 神護寺

神護寺では毎年、ゴールデンウィーク期間中に寺宝の虫干しをする。その機会に寺宝を公開する曝涼展が行われる。伝源頼朝像や潅頂暦名など歴史的一級資料がガラス越しでなく目の前で見ることができる貴重な機会となっている。ただ、コロナの影響で2年連続公…

十二天像 京博

十六羅漢像は単独や2幅(コンビ)など少数精鋭の展示が多いように感じる。一方で、十二天像は4幅ぐらいのユニット展示が多い気がする。十二天のそれぞれの役割が個別ではなくユニットとして成立するためかもしれない。 レア★☆☆ 観たい★☆☆ 通期・4幅ずつ前…

十六羅漢像 東博、清凉寺

東博の十六羅漢像は本館での通常展示にも出品されることもあり、観る機会は多い。ただ、16名のどれを観たかと言えば覚えていない。推しメンのいないアイドルグループを見ているのと同じ感覚で観てしまう。 レア★★☆ 観たい★☆☆ 後期 1幅(東博)、8幅(清…

阿弥陀三尊像 蓮華三昧院

高野山の霊宝館を訪れた日は大雨だったため、寺院を回る観光客はほとんどいなかった。しかし、霊宝館に国宝などお宝を観ることを楽しみにしていた人が若干来ていた。開幕日であったのだが、肌寒い気温と同様、待ちに待った熱気感はあまり感じあられなかった。…

阿弥陀聖衆来迎図 有志八幡講

観心寺の特別公開を見終えて、高野山へと向かう。 明治時代以前ならば歩いて1日かかると観心寺で言っていたが、モータリゼーションの発展により2時間弱で行くことが出来た。 標高が900メートルと山頂にある宗教都市・高野山。すでに桜の時期が終わった下界だ…

山越阿弥陀図 京都国立博物館

往生際に現れて天に召されるお導き(手助け)をするのが阿弥陀如来である。阿弥陀様が極楽浄土へ連れていってくれるので、死後の世界も怖くない。死を感じた人の心のよりどころするために、仏画でも派手に描いている。 上野コレクションの中でも最高傑作であ…

阿弥陀三尊および童子像 法華寺

阿弥陀三尊および童子像は法華寺の収蔵庫でも見たことがある。ただ、よい照明と距離を空けてじっくり見られるという点では奈良博は最高の環境である。 この仏画は三幅でワンセットで、大きさがバラバラ。阿弥陀様が大きく描かれているのは分かるとして、左の…

倶舎曼荼羅 東大寺

おん祭り展は展示総数45件とこじんまりとした陳列のため東新館で完結した。西新館では新たに修理された文化財がお披露目されていた。昨年から続く修理された文化財の公開展ムーブメントは一つのカテゴリーになりつつある。 公共事業予算が年々先細る中で、文…

【根津 国宝・重文】那智滝図

根津美術館は都心の一等地にあるにも関わらず広めの庭園を備えている。入館者は無料で散策でき、同館が誇る燕子花屏風絵に合わせるように実物のカキツバタを活けていたり、所蔵の茶器や掛け軸などに合った茶室(入室不可)が4棟あったり、観る者を楽しませ…

【下阪本の社寺】六道絵 聖衆来迎寺

NHK大河もいよいよ佳境。普通のドラマならば明智光秀の最後が気になるが、大河は史実を元に描いているので本能寺の変があり、羽柴秀吉に討伐される筋書き。大往生場面は麒麟が去る場面で終わるのだろう。 さて、大河の主役であるに光秀に縁がある大津・下坂…

仏涅槃図 金剛峯寺 

9月のシルバーウィークは各地の観光地に久々の人出の賑わいをニュースが多く見受けられた。GOTOトラベルキャンペーンも相まって、コロナと共生する新しい観光が模索されている。そんな中で、2019年3月に新しくなったケーブルカーを見に行った。 ケーブルカー…

十二天像  伝宅間勝賀筆

春と秋、京都が観光客であふれかえる時期に東寺では名宝展と題して宝物館を開く。講堂に安置されている立体曼荼羅の各仏像がすばらしく、国宝仏像では兜跋毘沙門天像が2階に安置されている程度なので見逃しがちだ。場所も北の端にあることから、共通券を買っ…

十六羅漢図像  清凉寺

清凉寺の十六羅漢図像は東博の東洋館に2幅展示されていた。東博所有の国宝・十六羅漢図像も本館で2幅、時期を合わせた形で展示していた。清凉寺のものは京博と分けて寄託されているので、国宝展で一度にすべてみられたことは貴重な機会だった。 十六羅漢は…

【西国三十三所】普賢延命菩薩像 松尾寺

京都国立博物館で開催されている「聖地をたずねて 〜西国三十三所の信仰と至宝〜」。前期は開幕直後の7月下旬に行ったため、京都にもまだ涼しさが残っていた。しかし、後期の展示は酷暑の中での訪問となった。連日35度を超える気温に、夕方ごろから黒くて厚…

【西国三十三所】六道絵 聖衆来迎寺

聖衆来迎寺は西国三十三所の巡礼地ではないが、観音信仰の対局を表す最高峰の図であることから出品されている。 極楽浄土へと導かれるために観音様に祈願するのだが、信仰しないものは地獄へ落ちることになる。ただ、信仰しないだけで地獄へ行くわけではなく…

普賢菩薩像 東京国立博物館

ぶらぶら美術・博物館の日本画10選で、時系列的に最初に紹介されたのが東博所蔵の普賢菩薩像である。 平安時代の作品にも関わらず、彩色がほとんど剥げ落ちずに残っており、大切に保管されてきたことが窺える。顔立ちは奈良時代に多く描かれたふくよかさは…

山越阿弥陀図 禅林寺

観たことのない仏をどうのように表現するか。西洋東洋問わず様々な技法が用いられてきた。その一つが現実にあるもとと比較して描くことによって如何に仏が偉大かが分かる書き方がある。 山越阿弥陀図は大きな山を描いてその大きさに負けない阿弥陀仏を表現す…

餓鬼草紙 京都国立博物館

病草紙は原因が比較的分かりやすい目に見える病について描かれている。一方で餓鬼草紙は目に見えない病気(食物の不作も含む)について描かれているのかもしれない。人は病気などの発生への恐怖よりも、先が見えないことへの恐怖の方が危機感を強く感じる。…

病草紙  京都国立博物館

現代の医療では治療が容易な病気でも治療体制と衛生環境が整っていない頃は人々の大きな悩みの種だった。歯痛や眼病、下痢など、ドラックストアーに行けば簡単に治療薬が手に入る今、病草紙を見ると滑稽に思える。ただ、この滑稽さは近代医療が確立する百数…

普賢延命菩薩像 松尾寺

京博で行われる西国三十三所展の目玉出品のひとつは、松尾寺の普賢延命菩薩像である。松尾寺に保管されている普賢延命菩薩像は春秋の期間限定で同寺院の宝物館で展示されることがある。しかし、この松尾寺が舞鶴市でもなかなか行きにくい場所にある。一応、…

六道絵のうち閻魔庁図 聖衆来迎寺

極楽に行くか地獄へ行くか、すべては閻魔様のお裁き次第。 死後の世界に行ったことのない人にも分かるように絵にしたのが六道絵で、地獄の怖さが随所に描かれている。全15幅が残っているが、本来は極楽編もあったそうだが、織田信長の比叡山焼き討ちの時に…

絹本著色十二天像 京都国立博物館

密教では四天王とともに重要な護法善神が十二天である。四方八方を護る守護神として存在し、灌頂などの仏教儀式において用いられる。なので、重要な儀式でしか使用されないことが、貴重なものとして現代まで伝えることができた。一方で、儀式で使用していた…

国宝拝観者たちの夢、千件越えをいつの間にか達成した。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標が完結した。 次の1100件は果てしなく遠いので、1050件を一区切りにしよう。