国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

山越阿弥陀図 京都国立博物館

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往生際に現れて天に召されるお導き(手助け)をするのが阿弥陀如来である。阿弥陀様が極楽浄土へ連れていってくれるので、死後の世界も怖くない。死を感じた人の心のよりどころするために、仏画でも派手に描いている。

上野コレクションの中でも最高傑作である山越阿弥陀図は、周りの山並みは経年劣化で見えにくくなっているが阿弥陀仏と菩薩たちははっきりと綺麗に見ることができる。截金細工で表現した着衣の皆金色の劣化がほとんどなく、作られた当時と変わりがいないと思えるほど眩い黄金色が残っていた。

この山越阿弥陀図の売却益が仏教美術研究上野記念財団の設立資金になっている。設立されて50年だが設立当時は苦労しただろう。いまでこと見仏マニアが増えてきて、仏教美術も見直されているものの、設立の1970年代は高度成長期で古いものへの関心度も低く、仏教美術の冬の時代にだった。しかし、連綿と受け継がないと散逸してしまうので、研究により体系化してきたことで現在のブーム到来と繋がったのだろう。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。