観たことのない仏をどうのように表現するか。西洋東洋問わず様々な技法が用いられてきた。その一つが現実にあるもとと比較して描くことによって如何に仏が偉大かが分かる書き方がある。
山越阿弥陀図は大きな山を描いてその大きさに負けない阿弥陀仏を表現することで、仏がいかに大きいかを描いている。大きな阿弥陀だからこそ、多くの人々の迷いを導くことができると思わせるレトリック表現である。奈良の廬舎那仏は現実世界に降り立った仏の偉大さを直接表現したものだが、作成費用が膨大な金額(労力)となるので、おいそれと作ることができない。その点、紙に描く分の表現は無限大に膨らませることが可能で、仏の理想像を余すことなく描き切れる。