国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

扇面法華経冊子 市場図 四天王寺

昨年の四天王寺聖徳太子遠忌1400年だったことから、様々なイベントが企画された。なかでも慶讃法要は各宗派本山による法要を実施。名だたる宗派の総本山で行われ、聖徳太子が日本仏教の祖としての位置づけが分かるイベントとなっていた。

平常時を取り戻しつつある四天王寺ではあるが、正月は初詣の参拝客でにぎわう。それに合わせて、毎年恒例の宝物館での寺宝公開がある。今回のテーマは「きんきらきん」。浄土系の寺院ならイメージしやすいのだが、四天王寺には豪華な金に囲まれた雰囲気はない。むしろ朱色で囲まれた「あかあかもゆる」の寺院だが、歴史ある寺院だけに、きんきらきんも取り揃えていた。

いつものように2階の展示室が会場で、上がって見えた風景がこれまでと少し違った。階段を登り、渡り廊下を進む正面に大きな松鶴図屏風が陳列、手前には楓鹿図襖を展示していた。ともに金ベースの作りで、楓鹿図は少し古いため輝きは鈍い。根津美術館で開催されていた「将軍家の襖絵」とまではいかないまでも、いつも地味な展示物が多い四天王寺の宝物館で派手で大きなものを見ることが出来た。

四天王寺のきんきらきんと言えば、扇面法華経冊子は外せない。こちらは毎年1月の最初の約2週間に登場する。今回は巻七の市場図で漫画の1頁のようなコマ割り風に絵を配置した扇面となっている。この扇面の紙がきんきら仕上げで、雲母を引き、墨流しや金銀の切箔、野毛、砂子などを散らしているので派手な見栄えとなっている。そこに法華経を書いて奉納している。あくまでも奉納のためなので、お経が目立つことが影響してか、四天王寺の宝物館でも東博150年展同様に人が集まらない。美しいデザイン+絵にお経を上書きするのが馴染まない造りとなっているのだろう。国宝をじっくり独り占めできるのでありがたいが、国宝ファンとしては忸怩たる思いもする。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。