今年の最後に見た国宝は両部大経感得図であった。奈良博の名画の殿堂展でも最後に飾られていたので締めるのにふさわしい作品である。
2メートル四方の襖絵となっているが、もともとは廃寺となった内山永久寺の須弥壇の建具で、曼荼羅の裏側に描かれていた。裏側にあったため、比較的保存状態がよく保管しやすい状態に仕立てた。
内容は密教の2台根本経典である「大日経」と「金剛頂経」をそれぞれ善無畏と龍猛が感得する場面を描いている。ただ、絵巻物などと違い、一場面だけが描かれているので動きがあまりない。両絵画は塔が中心に描かれており、仏教(密教)において塔が重要な地位を得ていることが分かる。