金工
寺院を飾る荘厳具の一つ。本堂など大きな建物内で、普段とは違う雰囲気を作るため天井から吊り下げて使う飾り付け。かなりの高さから吊るため、80センチほどの細工された板状のものを蝶番でつなげて仕上げる。つなげると5メートル以上になる。 この板への細…
ドラゴンヘッドというタイトルの漫画があったが、こちらはドラゴンネックの水瓶。 水瓶の造形を利用して注ぎ口を長く首に見立てて、蓋部分に竜の顔を付けることで手足のない竜に仕上げている。胴体に当たる貯水部分には有翼の天馬が刻まれていることから、シ…
菱形に組んでデザインされたシンプルな箱。源流は古代エジプトやペルシアのモザイク技法で、シルクロードを通って隋・唐時代に発達した。東の端の日本にたどり着いた技法としてだけでなく、表面全体に菱形と三角形に切った沈香の薄板を貼り詰め、その合わせ…
単独で国宝指定を受けている鏡は香取神社の海獣葡萄鏡と大山祇神社の禽獣葡萄鏡、そして法隆寺献納物である海磯鏡の3件である。 今は携帯電話など日常品でも鏡面加工がされて、鏡の代わりになるものが沢山ある。しかし、古代の鏡は超貴重品で、庶民が持つこ…
銅板に金メッキした金銅製の文房具たち。当時、文具はハイテクツールだったので誰もが持てるものではなかった。文房四宝と呼ばれ、教養を満たす道具として重宝されていた。記録によると日本には610年に朝鮮半島から招来した。仏教に積極的な聖徳太子が三経義…
奈良時代には箱型のものを厨子と呼んでいた。現在ならば仏像などを安置するいれもののことを指す。 竹厨子は聖徳太子の遺品として法隆寺に伝わってきた。竹細工の箱と言われると思い浮かぶのが民芸品だが、素朴な形状を除いては一級品の技術によって作られて…
きのくにの名品で絢爛豪華な展示物は熊野速玉大社の古神宝類である。一括で国宝指定を受けているため、単品や数点での展示はよく見かけるが、これだけの点数を一度に展示することはあまりない。織物や工芸品、箱や扇、鏡などがあり、そのどれもが丁寧に作ら…
きのくにの名品展は出展されている点数が多いため、普段は常設展示をしているコーナーにも展示が波及していた。時系列に並べられた展示は荘園などの年貢の文書や田畑を検地した地図など、貴族や寺社が領地化すた証明ための中世の資料が展示してあった。 その…
和歌山県は江戸時代は紀州藩で徳川家が直接支配していた。水戸・尾張と並ぶ御三家で、暴れん坊将軍でお馴染み、徳川吉宗を輩出した。県立博物館の前には馬に乗った銅像があり、テレビドラマのオープニングさながらの躍動感ある像に仕上がっている。 名品展で…
護国之寺の金銅獅子唐草文鉢はテーマが合えば岐阜市歴史博物館で展示されることがある。今回、美濃の僧・栄叡と鑑真和上に関係する品々を集めた展示会ということで、お鉢が回って来た。 凝然国師の遠忌700年を記念して京博で行われた鑑真和上展では鑑真の教…
截金とは細金とも呼ばれ、金箔・銀箔・プラチナ箔を数枚焼き合わせ髪の毛よりも細く直線状に切ったものを、筆と接着剤を用いて貼り合わせて文様や図を表現する技法である。仏画や仏像彫刻などでも用いられており、平安時代の作品でも色あせることなく輝きが…
大阪市立美術館で開催している聖徳太子展は1階だけでなく、2階でも展示が行われていた。官営寺院発祥の地だけあって、多くの仏像が展示されていた。その他にスペースをとっていたのが聖徳太子絵伝で、壁ぐらいの大きさに聖徳太子の一生を10幅に分けて描か…
大阪市立美術館で開催されている聖徳太子展の目玉展示は丙子椒林剣だ。巡回地のサントリー美術館では七星剣が展示される予定なので、四天王寺が保有する古代の剣2振りが会場を替えて登場する。 展示は入ってすぐの部屋の奥でしていた。懸守の展示が地味だっ…
聖徳太子遠忌1400年を記念した展示会で、法隆寺の寺宝をメインに据えた聖徳太子と法隆寺展は奈良と東京の国立博物館で無事開催された。東京は観に行けなかったが、奈良博で十二分に堪能した。続けざまに、聖徳太子所縁の寺院である四天王寺の寺宝を中心にし…
京の国宝で一番見ごたえがあった展示は神照寺の金銀鍍宝相華唐草文透彫華籠16面と寺から流出した3面を合わせた計19面の一気展示だった。もともとは20面あり、ハワイへ旅立った1面は里帰りを果たせなかった。それでも一度に19面もの華籠が展示され…
神社なのに密教法具がある。現代なら違和感があるのだが、神仏習合の時代は寺社と神社の区分が曖昧であった。 厳島神社のある宮島は大陸との交易で船が通過する重要な拠点である。なので、ここにはお宝が入った船が停泊する。それを狙った海賊にいつ襲われて…
東博に常設されているイメージの強い国宝のひとつが総持寺の線刻蔵王権現像である。いつ行っても本館2階の13室金工部屋に展示されている。東博所有のものでないハズなのに、所有文化財以上に陳列されいる。 京博に場所を改めて観たのだが、残念ながら正面…
三昧展は東新館から西新館へ移動。渡り廊下には今回の展示会の注目作はどこにあるかを地図で示したものがあり、わくわく感が高まる演出となっていた。 西新館に入ってすぐの部屋は仏教の儀礼で使うものを展示。とくに密教の黄金に輝く鈷は見た目の美しさとは…
北陸新幹線が開業した2015年、東京から石川まで直通で2時間半となったことを記念して石川県立博物館で「加賀前田家 百万石の名宝」が開催された。前田育徳会の名品がほぼ網羅された展示会だった。そして、2020年オリンピック開催に合わせて企画され…
皇室の至宝たちも出品。木画経箱は東博の法隆寺宝物館で春先に展示されることが多い。デザインはひし形を箱の表面に張り付けていて、象牙と黒檀で意匠の強調を行っている。 レア ★☆☆観たい ★☆☆前期 tsumugu.yomiuri.co.jp
三菱の至宝展が五輪と共にようやく開幕した。三菱財閥が誇る3つの展示館(+銀行の研究所)が所有している名品ばかりを集めた夢の展示会がついに始まった。 そもそもは三菱財閥が誕生して150年を記念した展示会ではあったが、コロナの影響で延期となって…
熊野速玉神社古神宝類は貴族の信仰を集めたことから、いろいろなものが奉納されている。前期は桐蒔絵手箱・浮線綾丸紋様袍・小葵文様袷・小葵文様衵、後期は桐蒔絵手箱・小葵文様唐衣・海賦文様裳・雲立涌文様衵が展示される。 レア ★☆☆観たい ★☆☆通期(入れ…
同じ厳島神社所有の鎧ではあるが小桜韋黄返威鎧に比べるまでもなく非常に展示機会が少ない。綾威鎧が非常に珍しい形式で、数が残っていない。鎌倉後期の特徴なので、政権が室町幕府に変わったことを契機に旧世代の鎧形状となったのだろう。 レア ★★★観たい ★…
大袖などを繋ぐひもに小桜の文様があしらわれているワンポイント可愛い系鎧。年1回ぐらいどこかの展示会に出ているので、鎧の中では移動が多い逸品。 レア ★☆☆観たい ★☆☆後期 tsumugu.yomiuri.co.jp
京都四条の綾小路に住んでいた刀工が造った刀。鎌倉時代前期の作品で、政治の中心が鎌倉へ移った頃なので、京が政治的空白時代の国宝と言える。 レア ★☆☆観たい ★☆☆後期 tsumugu.yomiuri.co.jp
飾剣は天皇から特別な許可を得なければ用いることができなかった。なので、超豪華に造られている上、数が少ない。平安時代に造られたもので、公家が儀式の正装時に帯びることができた。 レア ★★☆観たい ★★★後期 tsumugu.yomiuri.co.jp
空海が修行の場としたとされる安芸の宮島。平清盛が篤く信仰した厳島神社があり、毛利元就が下克上を果たした宮島の戦いと、歴史のキーポイントに登場する。明治以前は神仏習合の思想があり、宮島の自然が神様であり、仏さまでもあるだけでなく、修験道の修…
東寺は空海が起こした真言宗系の寺院だ。国宝彫刻群で作り上げた立体曼荼羅が有名で、それぞれが国内最高峰の仏像で作り上げたフォーメーションは必見である。ただ、彫刻群はあくまでも疑似世界で、リアルな人々とつなぐのが法具を用いた祈りの儀式である。…
厳島神社の宝物館はコンクリート造りでそこそこのスペースがあるが、こちらには国宝の本物の展示はない(すべてレプリカ)。秋に開催される特別展で会場を変えて国宝を展示する。ただ、スペースは狭く、少人数の会議室ぐらいのため展示点数が10点前後とな…
春日大社からは前期に毛抜形太刀・平胡籙・金銅尖矢・水晶鏑矢・蒔絵弓(沃懸地牡丹文)・蒔絵弓(松喰鶴千鳥文)、後期に山水蒔絵琴、金地螺鈿毛抜形太刀、菱作打刀が展示される。最近出来た国宝殿はスペースがそれほど広くない。今回の展示物の数ぐらいが…