截金とは細金とも呼ばれ、金箔・銀箔・プラチナ箔を数枚焼き合わせ髪の毛よりも細く直線状に切ったものを、筆と接着剤を用いて貼り合わせて文様や図を表現する技法である。仏画や仏像彫刻などでも用いられており、平安時代の作品でも色あせることなく輝きが残っている。
金を用いることで、剥がれるまで半永久的に輝きを放つため、神々しさを表現できる。この截金で衣服のほとんどを表現したのが竜光院の伝船中湧現観音像である。細切れの金糸を使っているので屏風絵の下地の金箔ほどまぶしくはないが、神々しさは一目会ったその日から瞼に焼き付いてしまう出来だ。
電灯のない時代は夜中の明り取りは蝋燭などの火と月明りだった。寺院で用いる夜の灯の照度はそれほど高くないが、その分周りの暗さと相まって截金を照らすと体が浮き上がって見えただろう。テレビの番組で建仁寺の風神雷神図屏風の複製で蝋燭の火で見る実験を見たが、揺らぐ炎で金色を照らした時の神秘性は得も言われぬものだった。本物では絶対できないことなので、複製を造った暁には昔の夜の雰囲気で見てみたい。