聖徳太子遠忌1400年を記念した展示会で、法隆寺の寺宝をメインに据えた聖徳太子と法隆寺展は奈良と東京の国立博物館で無事開催された。東京は観に行けなかったが、奈良博で十二分に堪能した。続けざまに、聖徳太子所縁の寺院である四天王寺の寺宝を中心にした展示会が大阪市立美術館とサントリー美術館で開催される。ひとつの企画では収まらない聖徳太子関連の展示会。信仰の幅広さが知れる良い機会である。
聖徳太子が建立したといわれている七大寺は、法隆寺・広隆寺・法起寺・中宮寺・橘寺・葛木寺・四天王寺で、その中で官営で本格的な寺院として日本で最初に建立されたのが四天王寺である。なので、聖徳太子が仏教を布教させた功労者であると共に、四天王寺は日本仏教の最初の地である。
そんな四天王寺は大阪の中心にあったため、様々な戦や災害により法隆寺のように古くから残る建物があまりない。なにせ、境内からは超高層ビルのあべのハルカスが間近で見えるぐらい都心部にある。交通の便としてはとてもよい。今回の展示会の大阪会場は大阪市立博物館となっている。四天王寺から歩いて十数分ととても近く、展示会の半券を見せると四天王寺の庭園や宝物館で割引が受けられる。
さて、展示は聖徳太子の彫刻たちの出迎えで始まる。2歳の時の丸坊主の赤子が念仏を唱えてる通称・南無仏太子像、両髪を束ねた童形半跏像、顎が角ばった凛々しい姿の摂政坐像が直線状に展示。まるで、人間の進化の過程を模型で表したような配置だった。
彫刻のそばには奈良時代や飛鳥時代の工芸品が展示されていた中に懸守も展示してあった。突然の国宝登場に、見逃している人も多かった。懸守自体がコンビニのおにぎりぐらいの大きさなので、それほど目立たないにも関わらず、他の工芸品と同等に陳列したので気の止める要素がない。何度か見ていたことが幸いして、歩みを止めてじっくり見ることができた。前期は松喰鶴文で、鶴の金工物はしっかり作られていて、身に着けて持ち歩き、自慢したくなる品だ。