護国之寺の金銅獅子唐草文鉢はテーマが合えば岐阜市歴史博物館で展示されることがある。今回、美濃の僧・栄叡と鑑真和上に関係する品々を集めた展示会ということで、お鉢が回って来た。
凝然国師の遠忌700年を記念して京博で行われた鑑真和上展では鑑真の教えに帰依した凝然はもちろん西大寺の僧侶・栄叡関連も出品されていた。岐阜での展示会は波濤を越こえてと題して、戒律を伝え広めるために艱難辛苦の旅路を経て、日本にもたらしたものを紹介している。
まず映像を見て、入り口のすぐ近くに唐招提寺所蔵の重要文化財・ 行基菩薩坐像があり、少し行くと奈良博の国宝・金光明最勝王経が展示され、出だしの名品ラッシュに押され気味になる。
美濃国分寺の出土品や名古屋市蓬左文庫の古今和歌集など東海地域にゆかりのある品が出始めた後に金銅獅子唐草文鉢がお目見えする。
室内の中央ぐらいに置かれた金銅獅子唐草文鉢は鍍金された鉢の側面に獅子や唐草文があしらわれたものである。銅鐸の表面に文様が描かれているのに似ていた。ただ、鉢の側面は手で持つ時に必ず接触するので擦り切れて文様などが消えかかっていた。器の構造上、下から覗き込みたくなるが文様が薄っすらしていて判別がつきにくく、解説がもっとあったほうが見やすかった。
鉢は奈良時代に作られた供物を入れるためのもので、東大寺落慶法要に使われたと伝わっている。1月18日と8月18日に護国之寺で公開される。寺宝として大切に保管されているものなので、展示会で頻繁に公開することもないだろうから見るにはよい機会だった。