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【聖徳太子】扇面法華経冊子 四天王寺

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大阪市立美術館で開催している聖徳太子展は1階だけでなく、2階でも展示が行われていた。官営寺院発祥の地だけあって、多くの仏像が展示されていた。その他にスペースをとっていたのが聖徳太子絵伝で、壁ぐらいの大きさに聖徳太子の一生を10幅に分けて描かれていた。因果絵伝は文字との組み合わせだが、聖徳太子絵伝は絵のみ。今でも僧侶が絵を使って説明するためのプレゼン資料として活用している。

文字が読めない人々に伝えるため、古代ならばピクトグラム風の簡易な象形だったものが飛鳥時代にはリアルな絵にまで昇華していた。絵解きで説明することで、より多くの人に分かりやすく伝えることができた。このことが太子信仰の拡大につながり、今日まで信仰の対象となった。

リアルな絵での説明を見せることで、芸術的感覚を持っている人々に絵を描くことの可能性を高めた。宗教画というジャンルで絵を描くにより信仰者が増え、さらに増やすために新たに絵を描くことになる。これが貴族社会の誕生でパトロンたちがより美しい宗教画を求めるようになり、やがて大和絵が誕生することとなる。扇面法華経冊子は聖徳太子絵伝から続く、見て伝えるための道具として四天王寺の寺宝としてふさわしい逸品である。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。