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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

【やまと絵】山水屛風 神護寺・京博

早いもので東博150周年展から1年が経った。周年記念展示会で気合いの入った内容だっただけに、翌年の秋展の企画者はプレッシャーがかかったことだろう。そんな素人考えが杞憂に終わる企画がやまと絵展だ。全国各地のやまと絵の一級品が東博に集合したと言っても過言ではない内容だった。ただ、残念なのが東博150周年展でもそうだったが、4回の会期すべてを見ないとコンプリートが出来ない点である。なので、展示リストをじっくり眺めて見たい展示がある時に行くことにした。

今回の見どころの四大絵巻物が一度に見ることができる点だ。それが出来るのがⅠ期のみだったので、早速見に行く。土日祝は時間指定、平日は時間指定なしだった。まだ、時間指定券が購入できたのだが予約時間まで入場を待たされるので、平日に行くことにした。会場はおなじみ平成館。入場はスムーズだったが、エスカレーターで2階の会場につくと2019年ごろの特別展を思い出す人の数だった。歩くことはできるがショーケース前は動かず、人だかりができる見学者数だった。

第一会場入り口にある聖徳太子絵伝からたくさんの人が足を止めていた。この調子だと手前で見るにはかなりの時間が必要となる。数々の国宝を観てきた経験から、展示回数の多さや見比べができる機会などを勘案して、最初の部屋は神護寺と京博の山水屏風の見比べに時間を掛ける。

山水屏風が展示されているショーケースはほぼその系統のもので固められていた。なので、いろいろなパターンが横並びに比較できる構図だった。神護寺の山水屏風は風景が中心。対して京博のものは草堂に隠棲して詩作にふける老翁と、それを訪問する貴公子が描かれている。山水屏風の役割として密教で灌頂の儀式を行う時に用いられるそうで、遠い大陸の師匠を訪ねて仏弟子になるのが正式なのを簡略化するためのアイテムだ。なので、大陸では使用しない(現地に行くため)道具のためやまと風に創っている。貴族が仏門へ帰依が広まる中で、山水屏風は僧侶が貴族宅で祈祷する時に用いることから、徐々に煌びやかなやまと絵へと変化、後期に出る金剛寺の日月四季山水図屏風はその傑作で、神護寺と京博の山水屛風とともに見たかった。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。