国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

柴門新月図 藤田美術館蔵

リニューアルオープン以来、久々に藤田美術館を訪れた。ITを進めている同館では、電子決済はもちろん解説書もスマホのみで読むことができる仕様となっている。そういえば、美術館によく見るPR用のフライヤーやポスターも見かけなかった。ペーパレスな美術館である。

前回訪れた時も書いたが、入り口は蔵についてあった扉を再利用して重厚感を演出。美術を見るぞと心構え室内へ入り込む光を遮るためにひと間設けて、すぐに美術品(おすすめの1点)が現れる。

今回、訪れた時の最初の作品は国宝の柴門新月図であった。水墨画とその題材に合わせた賛を18人の僧からもらっている。応永十二年(1405年)の記載があることから年代が分かる最古の詩画軸あり、同年代の作品を比べる目安にもなっている。

唐の詩人・杜甫の南隣詩の一節・送別がモチーフとなっている。賛があまりにも多いことから、水墨画の部分がかなり下の方にあるように見える。国宝では瓢鮎図も同じような構図だが、ここまで賛は主張していない。あくまでも画に対する解である。柴門新月図はまるで賛に対しての答えを描いているようにも見えてしまう。詩画軸の初期作と考えれば、ここからレイアウトを調整して、一般的に思い浮かぶ賛画の割合になったのだろう。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。