高野山霊宝館開館100周年記念の展示会「高野山の名宝」は第4期の最終期となった。これまで高野山の名宝の数々、珠玉の彫刻を期間を通して展示してきた。その最後となる。すでに葉は赤く染まっているものがちらほらあり、高野山の短い秋がすぐそこまで来ていた。
この第4期の展示のテーマは肖像画。弘法大師や真然僧正、恵果阿闍梨、新館では浅井久政・浅井長政・浅井長政夫人(お市)が並んでいた。その中で一番大きい作品が勤操僧正像だ。紫雲殿で最初に見える場所にあり、この展示会で一番の目玉展示が飾られる位置にあった。空海の師匠とされる人物の肖像画で、上部には空海の賛が書かれている。この賛は勤操僧正の没後に木像が造られた際に寄せた内容だそうで、空海の勤操僧正に対する気持ちが込められている。勤操僧正像の構図が右手を前に出して、「今でしょ」という往年のギャク?をしているように見えるのが愛らしい。