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転害門 東大寺

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10月5日、東大寺内にある手向山八幡宮と転害門で転害会という古式ゆかしい神事が行われる。

お寺で神事というのも摩訶不思議なのだが、明治政府の意向で神仏が明確に分かれて配されたが、それまで神仏の垣根なく立地するのは普通だった。いまもお寺に小さな神社が祀られているのはその名残。現代風に事象ならば郵政民営化によるかんぽと郵便事業分離したが同じ建物内で営業しているぐらいの感覚なのだろう。

転害門は東大寺のメインストリートからは離れた西端北寄りの場所にある。平家の南都焼き討ちや戦国時代の戦災からも逃れた門は、東大寺中興の祖である重源上人が行った改修工事後の姿を保っている。奈良時代から残る三棟造りの屋根は法隆寺東大門とこの門だけで、東大寺の中でも歴史ある建物のひとつである。門の前を通る道が京へ向かう道なので、この門が京から来る人々を最初に迎えることとなる。現在の鉄路からは遠い場所だが、北からの備えという意味では十二分。おそらく京から来てこの門を見た人は古都に来たと実感したのだろう。

さて、この日行われた転害会は平安時代初期に始まった祭で、「害を転じて生かす」行事として室町時代までは天皇直轄の勅祭だった。神事は午前の早めの時間帯で終わったようで見ることができなかったが、神事の場所として転害門には注連縄が飾られていた。秋のこの時期に開催されているのは秋祭りの時期に合わせて開催しているのは、寺での神事ではなく神仏分離をきっちりとした体裁をとっているのかもしれない。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。