延暦寺の根本中堂はリニューアル工事の真っ最中。堂内には所狭しと足場が組まれており、日ごろは絶対に見ることができない屋根の真上からの風景が楽しめる。しかし、堂内でゆっくりと拝むにはいささか足場が邪魔になっている。
今回の東博での展示には根本中堂の内部を再現した部分があり(九博でも再現されると発表)、写真撮影自由となっている。遠目でした見ることができない内部の祭壇なので、再現度合いがよく分からないが、雰囲気は伝わってきた。
根本中堂では時間によっては祈祷をしている場面に遭遇する。国家安寧のため護摩を焚いてお経を読む姿に出くわすとありがたみが増す。この祈祷をできる僧侶を育てられるのが延暦寺の強みだ。
嵯峨天皇の宸筆である光定戒牒はまさに国家僧侶誕生を証明するものである。最長の弟子・光定が比叡山の一乗止観院で大乗菩薩戒を受けた時に正式な僧侶であると書いたものである。歴史的意義と共に三筆に数えられる嵯峨天皇直々に筆を取ったことでも貴重な国宝である。