国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

如意輪観世音菩薩半跏像 願徳寺

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京都の向日市は面積が7.72平方キロメートルしかなく、市では西日本では最小、全国でも3番目に狭い。

国宝仏像のある願徳寺は、JR向日町駅もしくは阪急・東向日駅から出るバスに乗り、なだらかな山道を登って最寄りバス停から歩いて20分ぐらいの場所にある。周辺には大原野神社勝持寺など花で有名な寺社がある。それら有名寺社があるためか、願徳寺らの所在地は京都市西京区となっている。「京都市にあらずんば京都にあらず」。寺社にとっても所在地は重要なのだろう。(京都は洛中洛外でも区別される)

願徳寺は本堂や庭がなく、国宝仏などを安置する収蔵庫のみの珍しい寺院。なので、門は閉ざされていて、インターホン越しに拝観の旨を伝えて横の扉から中へ入る。受付を済ませると唯一ある建物へといざなわれる。休みの日に訪問したためか、屋内の電灯は自分でつけてくれと言われ、畳に無造作に置かれたスイッチを点灯すると全体の照明と如意輪観世音菩薩半跏像が入る厨子内の照明が点灯した。如意輪観世音菩薩の脇侍には薬師如来とともに聖徳太子2歳像が配置される珍しいフォーメーションとなっている。

如意輪観世音菩薩半跏像は結構な男前で、個人的には国宝の半跏像としては東寺の帝釈天と双璧ぐらいだと思った。2006年に東博でのお出かけ展示があった時はポスターの中心に配置され、センターを取れる仏像である。同仏像の見どころは衣服のひだひだの彫刻が素晴らしい点だ。このうねりは見様によっては北斎画の大津波にも見えなくもなく、慶派誕生前にもリアル主義の彫刻が存在したことになる。大陸から渡来したものの模倣から国産の新たな技法誕生の過渡期的作品なのかもしれない。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。