国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

伝教大師度縁案並僧綱牒 来迎院

f:id:kokuhou:20211013211316j:plain

最澄天台宗のすべての最初のブロックは最澄に関する展示。言わずと知れた天台宗の開祖である。真言宗の推しメンが開祖の空海一択なのに対して、時代を超えて綺羅星の如く名僧侶が誕生した天台宗延暦寺で修行した各宗派の開祖も多数いる)では相対的に最澄のネームバリューが低くなってしまう。そのためか、天台宗のすべてという展示会でも最澄はワンコーナーを受け持つのみであった。

最澄空海と対比された時に印象が弱くなるのは、密教の教えを乞うたからかもしれない。天台で学んだ仏教が、当時最先端の密教の教えが欠けていたため、日本に戻ってから体得するため空海の門をたたいた。しかし、最澄自身が忙しくて長期の修行に付き合うことができなかったことや愛弟子の泰範が真言への宗旨替えなど完全な密教の体得が完成しなかった。そこを弟子たちにつなげ、台密確立へとつながった。この学ぶ姿が最澄の良さで、多くの高僧たちが巣立つ素地となった。

そんな最澄のプロフィールが記載されている伝教大師度縁案並僧綱牒は簡単に言うと履歴書なのに国宝となっている。当時の僧侶は国家が庇護する、国家公務員的な存在で優秀で血筋がしっかりとしたものが必要である。一言で僧侶と言っても私度僧も多く存在していた。そこで僧綱所が発行した国家公認の得度した僧に出される履歴書、いわば公文書で認められた僧侶である証明書はとても重要であった。この発行権を持っていたのが南都仏教で、いみじくもそこに風穴を開けたのが最澄である。重要性が分かる人物だったため、本人の履歴書がきっちりと残っていたのだろう。

国宝は2017年10月3日~11月26日が会期で無事終了した。 この展示会に出ていない800件以上の品々も見ていきたい。