国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

僧形八幡神像 八幡殿

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10月5日、転害会のメインイベントはこの日だけの勧進所の特別公開だ。

勧進所は大仏殿の西が側にあり普段は固く門を閉ざしているので人通りも少ない場所だが、この日だけは大仏殿を尻目に勧進所に向かっていた。600円を志納して、いざ中へ入る。

コロナ対策で一方通行で案内。公慶堂⇒八幡殿⇒阿弥陀堂の順で見る。正面門から見て左手に見えるお堂には公慶上人を祀っている。幾度となく人災や災害にあった東大寺を復興させるため、勧進に命をかけた上人の寺務所、いわば司令塔だった場所にお堂を建てて鎮座している。公慶上人は江戸時代の人で、坐像は亡くなった翌年に造られた。勧進で集めた浄財で建てた大仏殿が落成したの没した4年後の1709年で、勧進の成果を見ることなくなくなった。お堂は上人がいつでも見ることができるよう、大仏殿を向いて建てられているのが、東大寺復興に貢献した証である。

塀を隔てて、一段奥に八幡殿と阿弥陀堂がある。国宝の八幡神像は八幡殿拝殿の奥、個室にある。平家の焼き討ちで焼失した八幡神を再興するため快慶が作ったのが、国宝の僧形八幡神像である。奥の個室で保管されて、年に1回した御開帳されないこともあり、色彩がはっきりと残っている。顔がなんとなく良弁僧正に似ていて男前。茶室ぐらいの広さがあるので、奥まで行って背後も見たいのだが、監視の目のお供え物があるのでさすがにできなかった。

八幡殿を出て左手に阿弥陀堂がある。アフロ仏像でおなじみの五劫思惟阿弥陀如来が本尊。インパクトのある仏像だが、周りを囲む小さな四天王立像も力強い作品で目に留まり、仏像好きにはたまらない空間であった。秋というには夏の日差しが残る暑い日であった。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。