国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

玄奘三蔵絵 高階隆兼筆 藤田美術館蔵

昭和のテレビでは三蔵法師が主人公の西遊記が番組として放送されていることがよくあった。平成になると西遊記のフォーマットを利用したものが作られ、令和の時代にはほぼ見なくなった。シルクロードブームに呼応していると思っているので、玄奘三蔵ブームもいずれ来るだろう。その日を待ちわびながら玄奘三蔵絵を観た。

玄奘三蔵絵は日本に伝わってきた玄奘の逸話を大和絵で再現した絵巻物。作者の高階隆兼は鎌倉時代後期頃に活動した御所の絵師で、絵所預を務め、国宝となった三の丸尚蔵館蔵の春日権現験記絵の作者でもある。絵師として後伏見天皇および花園天皇の下で、室町幕府が成立する直前頃まで活躍した。彼の描いた絵は大和絵の集大成とされ、以後の作家たちの手本となるレベルであるとされる。

今回の藤田美術館の展示では高階隆兼が描いた春日明神影向図も展示していたが、こちらは保存状態がそれほどよくなく色あせていた。一方で、玄奘三蔵絵はつい最近描かれたといってもよいぐらい鮮やかで保存状態はよい。

今回の展示では第11巻がお目見え。玄奘の偉業のである現地から持ち帰った経典を漢訳する作業を終えて記念式典を開催してるところ。苦労して「大般若経」全600巻の翻訳を終え、完成供養を行っている最中に、「大般若経」から光が放たれ、集った人々は涙を流しながら感動している場面を描いている。大和絵の形式で描かれているので、場面がすんなり頭に入り、分かりやすい絵巻物になっている。それぞれの衣装のデザインは細かく、放たれている光が見えている人と、見えない位置にいる人の表情の違いの描き分けなど、見ていて飽きない工夫が多い。

国宝拝観者たちの夢、千件越えをいつの間にか達成した。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標が完結した。 次の1100件は果てしなく遠いので、1050件を一区切りにしよう。