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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

【やまと絵】伴大納言絵巻 出光美術館

大陸から伝わったとされる絵画技法。高松塚古墳などに見られる型は明らかにそれと分かる描きようである。それが、宗教儀式として現地へ行けない代わりに屏風へにしたり、聖徳太子絵伝のように国内で発生した事象を絵にすることでオリジナルな描き方へと変化が生まれてきた。

それが大成したのは平安中期の遣唐使廃止以降からだろう。唐が衰退と文化をマネする対象としての地位が同じように下がり、新たな文化の創造への余地が出始めた。そこに日本オリジナルのかな文字ややまと絵が誕生した。その最高潮の頃の作品が四大絵巻物である。源氏物語は国風文化の最高峰として、鳥獣戯画は風刺を動物で描く漫画的表現で、信貴山縁起絵巻絵巻は当時の風俗を描いたものとなっている。そして、今回一番見たかった伴大納言絵巻は大事件であった応天門の変を伴大納言視点で描く物語となっている。

展示の順番では源氏物語絵巻が一番奥の正面を使って、そして奥から信貴山縁起、伴大納言、鳥獣戯画と続く。鳥獣戯画は人気の甲巻が展示されていたので、混雑必死と思っていたが、一番人気は信貴山縁起でかなりの部分を広げて見せていた。そのどれもがユニークな場面ばかりで、流れで見ている人はここで疲れて甲巻の頃にはぐったりしていた。伴大納言はというと毛色の違う応天門が焼けている迫力ある場面が人気となっていた。群衆を描いた場面ではそれぞれ違う顔が描かれている点は岩佐又兵衛洛中洛外図屏風などでもそうだったが、この頃からモブキャラでも表情や個性を持たせていた。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。