国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

【東博150年】平治物語絵巻 六波羅行幸絵巻

東博150年記念展第Ⅰ期の一番人気は平治物語絵巻だった。第1会場から次へとつなぐスペースに陳列していた。長めに展示してあったがどこも見物の列が途切れることがなかった。逆に普段は人気の高い雪舟作品が端へと追いやられ、注目を浴びていないのが新鮮だった。

ついこの間まで東京都美術館で開催されていたボストンの至宝展では、里帰りしていた平治物語絵巻の三条殿夜討巻を公開していた。国内にあれば国宝級と言われる逸品だが、実物を見たらなおさらそう思えた作品である。とくに逃げ惑う人々の様々な表情や炎上する火の表現などは古さを全く感じさせない出来栄えだった。

東博所有の六波羅行幸絵巻は間違いなく国宝である。内裏に幽閉された二条天皇が牛車で脱出して、平清盛のいる六波羅邸へと行幸するシーンが描かれている。武士たちが天皇行幸に対して出迎える場面は、追っ手を蹴散らすために武装しつつ、二条天皇に対して礼を尽くす姿勢が表れており、錦の御旗が大事なことが分かる構図となっている。三条殿夜討巻を見た人ばかりではないだろうが、人気を集めるのに十分な作品であった。

ただ、残念なのが展示期間の短さと、ボストン美術館との同時期展示ができなかった点。戦国絵巻展などがあれば、展示の中心となること間違いなしの作品である。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。