智証大師関係文書典籍 がユネスコの世界記憶遺産に認定されたことを記念して大津市歴史博物館で緊急の企画展が行われた。
智証大師こと円珍は延暦寺第五代座主で若き頃に密教を学ぶため唐へ渡った。その時に発行された渡航許可書(パスポート)を現代まで大切に保管し、受け継いだことがユネスコの記憶遺産認定となった。この証文があることで円珍が唐における足取りが正確に分かるだけでなく、国家としての唐がどのような形で外国人の動向を国内で管理していたか、またその証文がどのような文章なのかが分かる。
園城寺でも先日までユネスコ登録記念で智証大師関係文書典籍を公開していた。大津市歴史博物館では常設展の1コーナーとして展示しているため、通常の常設展拝観料金である330円で見ることが出来た。そして、通常でもなかなかない、カメラ撮影okと破格のサービスとなっていた。
展示ではよく展示される越州都督府過所や尚書省司門過所の他にも、台州公験牒請、台州刺史両字及印信牒、再請台州刺史両字及印信牒、請賜台州公験牒、台州公験、明州公験、台州公験請状が展示されていた。どれも公的な文章なので、現代人でも読みやすいしっかりした楷書で書かれている。唐と言えば王羲之をこよなく愛した太宗が国家の基礎を固めた。ことが公文書にも影響を与えている。この文章には円珍が書いた個所もあり、写真で言えば中央のあたりで、左右の文字に比べるといささか劣る。