ユネスコ世界遺産「古都奈良の文化財」登録25周年を記念して発売されている6寺社共通拝観券で、これまで春日大社、興福寺、東大寺、元興寺、薬師寺と行った。残るは唐招提寺だけだった。
薬師寺には修学旅行生が来て賑やかな雰囲気があったが、唐招提寺は大人たちが多く静かな感じがした。近場なので対比してしまうが、薬師寺は新しく作られた施設も多くアミューズメント的な要素があるが、唐招提寺は昔のままで古風な修行の場という印象を持つ。拝観入り口からして違い、薬師寺は近代的な建物(といっても券売機ではなく手売り)でチケットを売っているのに対して、唐招提寺は昔ながらの門で販売していた。国宝を回りだして初めて気づいたが宗派が違うのに関係しているかもしれない(薬師寺は興福寺と同じ法相宗、唐招提寺は律宗)。学生時代の修学旅行で来ただけでは理解が進まない部分で、大人の社会科見学が楽しいのはこの気づきにある。
唐招提寺は国宝の宝庫である。講堂、鼓楼、経蔵、宝蔵、そして境内に入らずとも写真のように見える金堂の5件が建築物として国宝の指定を受けている。この写真で見えている金堂ですが、なかに安置されている仏像もまた国宝である。乾漆盧舎那仏坐像、木心乾漆千手観音立像、木心乾漆薬師如来立像の3体は巨大な仏像で、金堂はこの大きさな仏像を納めるための作られている。奈良時代に作られた金堂としては唯一の現存している。唐招提寺が天平の風が香ると表現されるのはそのためである。他にも木造梵天・帝釈天立像、木造四天王立像が金堂安置の国宝となっている。オープニングに大アクションがあるハリウッド映画を見たような興奮を覚える。