奈良県東大寺山は天理市にある。東大寺とあると奈良市内を想像するがそうではない。自然地形を利用した北向の前方後円墳で、 「中平」銘金象嵌花形飾環頭大刀は紀年銘をもつ日本最古の遺物が見つかった。中平とは後漢の霊帝の年号で、184~189年である。そして、この時期に魏志倭人伝では倭国乱、宋書では倭国大乱が終結したとされる2世紀の末と一致する。大刀に後漢の年号の記載と、日本の前期古墳に特有の直刀とは違うことから、大陸から来たもの推定される、中国との通商があったことを示す重要な出土品となっている。さらにその他の出土品でも碧玉製腕飾類計51点は全国8番目、銅鏃・坩形石製品と鍬形石26点は最多と豪勢な埋葬品であることから、埋葬者はかなりの地位である。