京博での親鸞展が終了したあと、三重県総合博物館で開催されている親鸞と高田本山展は専修寺の国宝の公開が企画されていたので見に行った。
親鸞展でも出品されていたが西方指南抄と三帖和讃が期間を変えて全冊一挙公開される企画となっていた。重なっていないので、どちらに行くか熟考の末、冊数の多い西方指南抄が全部公開される方を選んだ。
三重県総合博物館へは初めて行った。津駅からバスも出ているがタイミングが合わなかったので歩いていく。途中に三重県立美術館があったのでぶらっと立ち寄ったが、歩くとうれしい出会いがある。
三重県総合博物館の敷地が見えると親鸞の独特の字体があしらわれた看板と幟が出てくる。展示会見学後に周りを散策したが、図書館や会議室など敷地内に総合的な文化施設を集めており、周りには高層マンションが並ぶ新興住宅と文化施設が一体となった場所であった。博物館は外れになることから、外から企画展が目立つようにPRしていたのだろう。
受付は2階にあり、会場は3階だった。常設展が隣の会場で、その隣の部屋に子供が遊べる空間があったので親子連れがたくさん来ていた。親鸞展に入るとさすがに年配者ばかりだった。会期も終盤ということで、目当ての国宝へと足早に進める人が結構いた。
西方指南抄は親鸞自筆で浄土宗・師匠の法然について書かれたもの。京博でも見た直筆サイン本で、今回もそのページが開かれていた。6冊全部を見せている横には、弟子の真佛・顕智が書き写した直門弟本も並べて展示していた。特長的な親鸞の字に似せようとしている点や、行数を合わせたり合わさなかったりと揺れがある部分が興味深い。師である親鸞が尊敬する法然について書かれているが、弟子たちには親鸞の言葉が刺さるのであって、その師である法然に対してではない(もし法然を尊敬するのなら浄土宗へ行っている)思いが伺える。親鸞に近づくための書写であることが揺れを生んでいる。