国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

悉曇字母(薫聖教)淳祐筆 石山寺

石山寺は9件の国宝書を有している。しかし、常設では公開されていない。見る機会が非常に限られている国宝である。(国宝の建築物である本堂と多宝塔は行けば見ることができる)

石山寺といえば源氏物語の作者である紫式部がこの寺で構想を練ったことから、式部推しでの展示会が企画されることが多く、地味な書跡の出番が極端に少ないことも原因となっている。

今回、石山寺縁起絵巻誕生700年へと題した企画展で国宝が展示されるとあって見に行った。場所は多宝塔の奥、少し丘を登った豊浄殿(いつも企画展が開催されている建物)で公開していた。主題の石山寺縁起は石山寺に伝わる歴史を描いた絵巻もので、東大寺を作った良弁僧正との関りから始まり、鎌倉時代頃までのトピックスを集めて描いていた。7巻全て展示していて、短い場面の展示しかできないことから、開かれていない場面を含めて写真で見せてくれていたのはありがたい。また、江戸時代に複製したものも公開されており、クローン文化財の思想は昔からあったことが分かった。

さて、本題は石山寺が所蔵する国宝書を初めて見ることができた。薫聖教は3代座主の淳祐筆で、梵語の解説書が展示してあった。薫の聖教と言われる所以は、淳祐が高野山弘法大師の御廟での御衣替式に出た際に大師の衣の香りが淳祐の手に移っていつまでも薫ったという伝説からきている。寺内には御影堂があり、弘法大師と縁深い寺院であることが分かる。周りの絵巻物や工芸品、屏風絵に比べるとやはり地味。機会を見て少しずつでも国宝を展示していってほしい。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。