国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

鑑真和上坐像 唐招提寺

鑑真和上坐像は2021年春に京都国立博物館で行われた「鑑真和上と戒律のあゆみ」とその年の唐招提寺の新宝蔵で見て以来。坐像は鑑真和上の命日である6月6日とその前後の計3日間に特別に公開される。見ることができない国宝ではないものの、期間が短く限られている。ましてや東北の人々が奈良へ行くのは結構大変。今回は命日には唐招提寺にお戻りになるため、5月21日までの公開であった。その最終盤であったためか、あまりじっくりと見ている人は少なかった。教科書にも載っている彫刻としては寂しさも覚えるものの、その分、独り占めできた。とてもよかったのが、360度全体から見られる独立したショーケースに入れられていた。普段の特別公開では正面からしか見ることができないので貴重な角度から(しかのガラスケース越しではあるが接近して)見ることができた。肩幅が結構分厚く、重源上人坐像や興正菩薩坐像(ともにおじいちゃん)に比べると若々しい。衣の彩色も残っており、背中までじっくり見ることが出来た。

古い仏像たちのメッキに使われている金は東北から輸送されているものも多くある。奈良と東北のつながりは深い。東大寺の大仏などはまさにそれで、仏教伝道のアイテム造りに貢献した地域の復興のため、奈良仏教界が立ち上がった展示会。1300年以上の結びつきが鑑真和上坐像の招来へとつながっている。

国宝拝観者たちの夢、千件越えをいつの間にか達成した。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標が完結した。 次の1100件は果てしなく遠いので、1050件を一区切りにしよう。