国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

良弁僧正坐像 東大寺

正倉院展奈良国立博物館で開催された期間、法華堂で東大寺開山良弁僧正1250年御遠忌を記念して良弁僧正坐像が公開されていた。

良弁は東大寺の開山に尽力した人物で、巨大な寺院伽藍を建築するために資材を集めた場所にある石山寺の開山にも関わっている。今年が遠忌の記念年であることから、年に1度、12月16日に法華堂の須弥壇奥に安置されている執金剛神立像と、堂のななめ前にある開山堂にて公開される良弁僧正坐像を時期をずらして公開していた。執金剛神立像はいつものように不空羂索観音の背面の厨子を御開帳して見せたようだが、良弁僧正坐像も法華堂にて公開されるとなっていた。普段は開山堂の厨子の扉が開かれるだけなので、側面や背後は見ることは出来ない。この機会に全体が見ることができると思い、正倉院展を見た後に訪れた。

法華堂に入ると、いつものように須弥壇には巨大仏像群が立ち並ぶ。それらがすべて国宝という豪華さ。にもかかわらず、訪れている人はそれほど多くない。鎌倉仏師が作った彫刻に比べるとけれんみのない正統派彫刻だからだろう。さて、良弁僧正坐像はいずこへと探す。導師が座る礼盤が真ん中にあり、そこにいると想像していた。しかし、鎮座していたのは礼盤の横に置いている高座、礼盤から須弥壇を見て左手に良弁僧正坐像が座っていた。少し考えると礼盤後ろに座席が設けられており、須弥壇前にお座りになると背後しか見ることができない。像全体を見るには好都合の配置であった。また、高座に座らせることで坐像が視線の位置にきて、とても見やすかった。

普段は厨子の中にあるため、背後の色彩はくっきりと残っており、袈裟の色合いが褪せることなく確認できた。年数が経っていても暗所できっちりと保管すると彩色が残り、作られた当時の色あいが分かる。法隆寺聖徳太子像や唐招提寺の鑑真和上像など展示会への出品で全体像を見ることができたものは多いが、どうしてもガラスケース内となる。ところが保管する寺院内(別の場所だが)なら、寺の意向だけでケースなく鎮座させることができる。普段はありえないコラボに満足できた。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。