国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

薬師三尊像 勝常寺

ゴールデンウィーク明けに悠久の絆奈良・東北のみほとけ展を見に仙台の東北歴史博物館へ行った。

唐招提寺西大寺など奈良のみほとけたちは現地で見ていたので「奈良」部分はそれほど重要ではなかった。なので「東北」のみほとけを見るためにスケジュールを組んだ。

お目当ては福島県河沼郡湯川村にある勝常寺のご本尊・薬師三尊像。5月9日からの登場とあって、会場はかなり人が来ていた。

入り口すぐに、唐招提寺薬師如来立像を展示していた。唐招提寺の立像は背丈が高い。移動は不可能に近い金堂の仏像群が巨大で盧舎那仏坐像は3メートルある。そこで並び立つと薬師如来立像はちょうどよい大きさとなる。

大きな立像の次は早くもお目当ての薬師三尊像が鎮座する。

脇侍に日光月光菩薩を従えた薬師如来坐像は貫禄のある体格でどっしりと構えていた。平安時代初期の作品で、一木から作ってはいるものの、中ぐりするために前後に分割してはぎ合せている。全体的には重厚感のある仕上がりで仏師・定朝が登場する以前の作品なので、表情がやや硬い感じがする。螺髪は別の木材を使ってひとつひとつ丁寧に植えられている。そのためか、全体に感じる傷み具合に比べると新しく見える。もしかしたら円珍のように頭が尖っていることが螺髪の鮮度を強調させる原因のひとつかもしれない。

東北地域では初めて国宝指定を受けた仏像で(近畿以外では3番目)、東日本大震災復興祈念として奈良仏教界とのコラボ企画だから実現した。勝常寺にはこの3体の他にも9体の平安仏像があるそうで、機会があれば見に行きたい。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。