唐招提寺の新宝蔵は奈良時代から室町時代にかけての寺宝が展示されている。そのほとんどが重要文化財である。この重文から令和元年に国宝へと指定替えを受けたのが奈良時代制作の木造立像たちである。
平安仏像でもなかなかお目に掛かれないが、奈良時代ならより貴重である。榧材の一木造りで、鑑真和上に随行してきた彫刻士が直接または間接的に製作に関わったもので、日本の木彫の原点となる作品である。唐招提寺の国宝指定の立像たちは完ぺきではなく、欠けている部分が多い。文化的美より歴史的価値が高い仏像としての評価が国宝へと押し上げた。