国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

刺繡釈迦如来説法図 奈良国立博物館

奈良・東北のみほとけ展にはたくさんの像が登場していた。それに合わせて仏具も展示していた。国宝関連では東博から興福寺金堂鎮壇具、奈良博から金光明最勝王経がお目見えしていた。

珍しいものとしては奈良博所蔵の刺繡釈迦如来説法図が出ていた。刺繍関連の国宝ではこの後に中宮寺の天寿国繡帳が入れ替わりで展示される予定。国宝に指定されている刺繍関連は数が少ないので、入れ替えではあるものの東北の地で2つも見ることができるのはありがたいと思う。

ただ、刺繍全体に言えることだが、なかなか保存が難しいようで虫食いや穴などが空いてしまう。なので、ほかの文化財に比べても積極的に修繕が行われているようで、刺繡釈迦如来説法図は2018年に修理完了の記念展が奈良博で行われた。色味の違いなどで修理箇所が分かるものの、肝心の菩薩や弟子に説法する釈迦の雰囲気は残っている。中心の釈迦はくすんではいるものの大半が当時のままのようで、周りの弟子や菩薩たちの傷みを修理し、展示できるレベルとなっている。

展示を見終えたエントランスでは奈良のPRポスターが展示されていた。かっこいいのは間違いないが、奈良で泊まって長期観光すると思わせる導線力が足りない。一点一点はよいのだが、総合的に見て回るイメージが湧かず京都の泊まって見て歩くに比べると明らかに見劣りしていた。奈良の奥ゆかしさはとても好きで、個人的にはこのまま観光客が増えないでほしいのだが、せっかく東北でPRしているのだから奈良市以外の奈良県下へ波及する長期間滞在型の観光戦略を見せてほしかった。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。