国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

朝鮮鐘 常宮神社

2022年、静嘉堂文庫や藤田美術館などが国宝を展示する施設をリニューアルした。とても見やすく、おしゃれな施設となって再開している。そして、今年にリニューアルされて気になっていた国宝を展示する施設を見に行くことにした。

敦賀湾沿いにある常宮神社は国内にある最古の朝鮮鐘を保有している。もちろん国宝。以前にも保管庫はあったようだが、日韓関係の悪化を受けて一般の公開を中止していた。また、錆による傷みが目立つようになっていたことから、修繕することになり、2021年5月に奈良へ輸送。その間に保管庫もリニューアルする運びとなった。鐘は今年の秋に修繕を終えて、常宮神社へ戻り、一般公開も再開した。

敦賀駅から常宮神社へはバスが出ているが、日に朝昼晩の3本しかなく、見学するのに都合がよいのは昼の便のみ。バスは気比神社をはじめ、市内の中心部を巡回し終えると海沿いを走る。市内の中心部ではノロノロ運転だったばすが、海沿いに出た途端、一気にスピードアップ。常宮神社まであっという間に着いた。

バス停は神社の前にあり、海岸沿いのため迷うことはない。正面に海辺を望む絶好の配置で神社が建っている。神社自体はそれほど広くはない。しかし、バスの終着点に敦賀原発があることから、寄進をした企業の石柱に彫られる社名は全国銘柄の超大企業ばかり。神社本殿の彫刻が深く美しく彫られたものが使われていても納得できる。

さて、朝鮮鐘保管庫は本殿より一角下の社務所横にある。拝観料を払うと早速開けてくれたのだが、この保管庫の外観はそれほど新しいとは思わなかった。が、中が全て木で作られていた。豪華ではないが、自然の湿度調整ができる環境下で保管できるので、鐘には良い空間となっている。惜しいのは空調がない点で、夏場などは暑いかもしれない。

鐘はガラスなどない剥き出しで展示していて、匂いすら感じる近さ。新羅時代 833年の作との記載があり、年代の分かる朝鮮製の鐘としては最古のものだ。梵鐘を吊るすために付けられている天辺の竜頭は伏せているような形となっており、表面の目立つ場所には天女があしらわれている。戦国時代に朝鮮へ遠征した戦利品として大谷吉継が持って返ったとされ、表面に墨で落書きのようなものが書かれているので、さほど大切に扱われていた訳ではない。この落書きを見れば朝鮮半島に帰還させたくもなる。重量的に頻繁に移動させることはないだろう。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。