国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

梵鐘  劔神社

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2024年春の開業を目指して急ピッチで工事が進む北陸新幹線の金沢~敦賀区間。その内で福井~敦賀間で唯一存在する駅の名称が越前たけふに決まった。新幹線開通で、武生の町は盛り上がるはずだ。その人混みが到来する前に国宝を見に行った。

国宝は梵鐘で、織田信長の祖先が神官をしていたとされる劔神社保有のものである。神社のすぐ近くに公営の織田文化歴史館で常設している。ただ、この劔神社へ行くのが一苦労。

まず劔神社は旧織田町にあり、70年代までは鉄道が通っていたようだが、廃線になっている。最寄り駅は武生駅なのだが、旧織田町は一山超えた場所にあり、歩いて行くと3時間ほどかかる。バスがあるものの通勤通学の時間が中心で、観光に都合の良い時間がほとんどない。おまけに折り返しのバスも少なく、公共交通機関を使う場合は計画的にいかないとかなりの時間を待ちぼうけに費やすことになる。ベストなバスは北鯖江駅から出ている11時台に乗り、武生駅戻りの12時半頃のバスで帰るルートだ。

バスは時間通りに運航しており、12時ジャストに劔神社に到着。目的は国宝を観ることなので、すぐに織田文化歴史館に行く。神社のすぐ隣なので迷うことはなく、広々とした駐車場の先に和様式の建物が見える。入口にはこれでもかと梵鐘押しの看板が飾っているので間違い様がない。

すぐに入って入館料の100円を払って、歴史館を見学する。部屋は2部屋で、織田町の歴史的な資料と発見された陶器など展示されていた。各地方どこにでもある歴史資料館である。さて、国宝の梵鐘は最初の部屋にある。透明なケースに入れられている梵鐘は目の前で360度見ることが出来る。大きさが1メートル強ぐらいなのでそれ程大きくない。梵鐘の表面に劔御子寺鐘神護景雲四年九月十一日と鋳造されていることから770年に造られた相当古いものであることが分かる。

梵鐘の古さもさることながら、劔神社は日本史に名を遺す信長の先祖が関わり、領主の斯波および朝倉からも崇敬を受けていた。越前地域の真ん中にあり、地政学的に重要な位置にあることが領主たちが無視できない存在に仕立て上げたのだろう。北陸新幹線の駅が開業した暁には観に行きやすい公共バスを仕立ててほしい。

 

 

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。