根来寺の大塔はコロナ前から行きたかった国宝建築である。一度だけ訪れたことがあったが、建築物にさほど関心がなく、眺めただけだった。今回は建物内部もじっくり鑑賞した。
興味なく訪れた時は多宝塔があるぐらいに思っていたが、数々の多宝塔を見てきた経験から、とにかくでかいことが今回の一番の発見だった。大塔と名付けるのが大正解。この塔は大毘廬遮那法界体性塔という名があり、東大寺の大仏様と同じ扱いなのもうなづける。
大きいからできた内部の工夫もみどころ。初層部は外から見ると方形だが、中に円筒形に壁が設けられている。この円筒が大きな心柱のように見える。その円筒壁の内部に内陣があり、大日如来を中心とする仏像が並んでいる。仏像は9体が所狭しと配置され、東寺の立体曼荼羅の一部が根来にまで来ているように見える。隣にある大伝法堂には巨大な仏像3体がおり(建物・仏像3体が重要文化財)、まさに東寺の立体曼荼羅縮小版である。以前来た時には知識が全くなく、今回の再訪はとても良かった。