昨年の夏前に東博で開催された聖林寺展が奈良博へ巡回した展示会。東博では高さのある特別5室での展示で、国宝十一面観音菩薩立像が際立つ配置で展示されていた。kokuhou.hatenablog.com
奈良博ではさらに東博にあったショーケースが取り外され、むき出しの十一面観音菩薩立像が拝める。ただ、広々とした新館での展示だったので、東博では背景に使っていた三輪山の写真が入り口すぐに展示していてたり、背中に壁を設けて像と空間の距離感が圧迫されたりと演出に少し不満が残った。
しかし、像自体はじっくりと観ることができた。むき出しのため、光の反射がなくストレスフリーで、立像と同じ空気を吸えている喜びが芽生えた。天平彫刻の最高傑作と言われる仏像ではあるが、江戸時代まで大神神社で祀られていた。南都北嶺による仏教界の争いで多くの像が焼失したことを考えると神社にあったことが、無事来れ名馬に位置つけになる大きな要因だったのだろう。聖林寺に新たな収蔵庫が誕生するとおいそれと寺外へお出ましにならないので、コロナで当初より遅れて開催されたが良い機会に巡り合えた。