神護寺の春の公開を見た後、秋にしか訪れたことがない高山寺の石水院に行った。
紅葉で有名な高山寺は秋の観光シーズンともなると多くの人が訪れる。この人の多い寺院という印象が残っていたので足が遠のき、しばらく訪問していなかった。昨年の今の時期に東博では鳥獣戯画展が開催されていて、展示会場では初?の試みである動く歩道を設置したことで話題となっていた。
高山寺につくとこの秋に福岡で鳥獣戯画をメインに据えた展示会が開催されるとのポスターを発見。東京では見ることができなかったため、福岡はどうするか迷いつつ、石水院に着く。意外と人は少なく、先客は数名いる程度だった。
石水院は建物の外観を楽しむというよりも、中から見た風景を楽しむ建物となっている。秋に来たときは目の前の山々に広がる紅葉の風景が疲れを取り除く。ただ、周りに人が多くガヤガヤしていたので落ち着いて観る場所ではないと感じていた。
今回、ほとんど人がいない中で、新緑を楽しんだが、それも心癒される風景だった。また、外野の賑わいが全くないため、落ち着いて心のデトックスを堪能できた。パンフレットには雪の風景などもあり、四季によって味わいが違うことが想像できた。観光シーズンを外してもう一度訪問しておきたい場所となった。
さて、国宝建築となったのは高山寺発展の立役者・明恵上人がいた頃から残る唯一の建物だから。もとは金堂近くにあった経蔵を明治時代に現在の地に移設した。国宝を多く所有している寺ではあるものの、そのほとんどを寄託しているため、常時見ることができる唯一といってよい国宝となっている。ただ、部屋には複写した国宝たちが並ぶので、いかに高山寺がすごいかは分かる。