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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

法隆寺献納宝物 東博

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ゴールデンウィーク直前から奈良国立博物館で始まった聖徳太子法隆寺展。夏ごろに東京国立博物館への巡回展だが、奈良博で観ておきたい博物館サービスがあったので出向いた。

国立博物館の中で、東京・京都・奈良・九州の4ヶ所は数年前までプレミアムパスなど通常展示会は見放題、特別展は各博物館で使用できるチケットが発行されるおとくなチケットがあった。ところが、年々廃止や値上げが続き、ついに東博も令和3年度からの分が値上げされた。しかし、奈良博ではこの流れに反抗するように一般用は値下げされた(学生などは値上げ)。これを使いたくて奈良博へ向かった。

特別展のチケット売り場は新館の表側に臨時でプレハブが建てられて販売していた。しかし、プレミアムカードは仏像館でのみ販売。まずは仏像館で購入手続きを済ませてゲットした。その流れでカード提示のみで観られる仏像館へ入った。

仏像館は2月下旬に訪問済みで内容は変わっていない。しかし、1点大きく異なることがあった。それは金峯山寺仁王門の金剛力士立像の写真撮影が可能になっていることだ。仁王門に鎮座している時から撮影が可能なのだから当然といえばそれまでだが、近畿圏の博物館で写真がOKになるのは結構珍しい。ただ、写真では大きさや迫力が伝わらないのでプレミアムカードを使って何度も見に行きたい。

さて、本命の聖徳太子法隆寺展だが、再びプレハブのチケット売り場へ。売り場でカードを提示してチケットをもらう。そして、入場してからチケットの半券のもぎりとカードに押印をもらって、いざ会場へ。

ところが、ここでいつもの奈良博とは逆ルートになっていることに気がつく。普段の特別展は東新館から西新館への導線が多いが、今回は西新館からのスタートとなっていた。なので、いつもは帰り道となるスロープ(写真)を昇って会場入りした。

最初の部屋には、年配の日本人ならよく知っている聖徳太子を描いた最古の肖像画の掛け軸が登場。昭和の高額紙幣(千円札から1万円札)に採用された本物である。法隆寺献納品で唐本御影と言われる聖徳太子二王子像は御物であるため、ほとんど見ることができない。細面のちょび髭の顔は紙幣で何度も見たことがあるが、王子を伴っていることは初めて知った。3名とも正面ではなく、左を向いて斜に構えているので、3幅の右側に飾られていたものかもしれない。もしかしたら真ん中に天皇もしくは仏像、左が蘇我家の三幅一対だったらと思うと空想が膨らむばかりだ。

紙幣に採用された理由として、偉人であることももちろんだが、髭など細かい細工が必要な人物像のなので偽造しにくいことが挙げられる。その他に個人的な考えでは聖徳太子天皇にならずに補佐的な役割を果たしたことから、内閣が天皇に代わって仕切るイメージをオーバーラップさせ、政治を安定させる狙いがあったと思う。

聖徳太子展の国宝の多くは東博が保管している法隆寺献納宝物で、奈良博で見るのは新鮮だが東博に行けば大抵のものは見ることが出来る。国宝なのだが、御物の前ではかすんで見えてしまう。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。