奈良国立博物館で行われていた大安寺展に行った。
奈良には有名な寺院が多く、大安寺と聞いてもピンとこない。しかし、その昔は南都七大寺院(東大寺・興福寺・元興寺・西大寺・薬師寺・法隆寺(斑鳩にある法隆寺に変わり唐招提寺とする場合あり))のひとつに数えられ、奈良時代から平安初期前期までは東大寺や興福寺に並ぶ大寺院であった。
1017年の火災で主要堂塔を焼失して以後は衰退し、再建はされたものの寺院の規模が往年に戻ることなく今日に至っている。往年の姿を知るものは8世紀末頃の制作と思われる木彫仏9体が残る。それらを中心に大安寺を懐古し、影響を受けたものを取り上げた奈良博らしい展示会となっていた。
いつものように東新館の2階に大きな彫刻たちを展示。大陸文化をそのまま受け継ぐ仏像たちは法隆寺や唐招提寺など見た顔立ちにそっくりで、大寺院だったからこそ所蔵できた品々である。
国宝が見られるのは西新館へ移動してから。怒涛の国宝ラッシュとなっていた。後期に見に行ったため、書のコーナーに東博の三宝絵詞を展示していた。平安中期の仏教説話集だが、漢字とカナで書かれていた。読みやすさを重視して書いていることもあり、現代文に近い速度で読むことができた。昔の人も漢字ばかりでは読みにくかったのだろう。