国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

金堂 仁和寺

寺社には年に1度同じ日にちに必ずお堂が開かれるスペシャルデイが存在することがある。開祖のための記念日や、お祀りする仏神の記念日などだ。東大寺だとお堂の数が多いため2か月1回ぐらいペースでどこかのお堂が開いている。

仁和寺では毎年5月28日が五大明王大祭として金堂の仏像たちが鎮座する後ろの板の裏側に描かれている絵を公開する。金堂が国宝なのは、建物自体が天皇が儀式を行う紫宸殿をそのまま移築し、それが現代まで残っているためだ。仏教的建物としての国宝指定の色は薄い。見学時に僧侶が堂内する説明でも、紫宸殿として最上級の梁が使用されているため天井板で隠さずむき出しになっていると言っていた。なので、本尊の仏像(阿弥陀仏)と建物比率があっておらず、他の仏殿と比べて明らかに天井高いし、格天井のような飾り気もない。あくまでも建物自体が品格が高いという造りになっている。仁和寺天皇家に近い皇族関係者が門跡を勤める寺院だからこそ可能にした移設で、仏を祀る建物として最高のリユース物件だったのだろう。

さて、説明が終わり金堂内を散策すると柱などには仏たちが描かれ、極楽を演出していた。殺風景のままでは堂内の仏像たちがさみしがるためだろう。そして、仏像の背後にある板、その裏側に五大明王が仏像たちの背後を守護するために描かれている。仁和寺展で復元されていた観音堂の絵画は傷みが激しかったが、この五大明王はくっきり、しっかり描かれていた。毎月28日に護摩供養をしているそうだが、後ろまでは煤は届かず美しさが残る。東寺の御影堂もそうだが、文化財保護の視点ではタブーとされる国宝の木造建築物内で火を焚く行為は、明王の加護?が許しているかもしれない。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。