東院堂は薬師寺の伽藍で見ると、回廊を挟んで東塔とは真向かいに位置し、回廊の外側に立地している。そのため、かなり目立ちにく場所にあり、導線的にも東院堂を目指して行かないと見逃してしまう。
国宝の東院堂は養老年間(717~724)に吉備内親王が元明天皇の冥福を祈るため建立した。973年に一度焼失したが、1285年に再建された。堂内には聖観世音菩薩立像と四天王が安置されている。聖観世音菩薩立像は白鳳時代作品で国宝の指定を受けている。四天王像は鎌倉時代の作品で、力強い慶派の流れを感じる出来栄えである。
東院堂は薬師寺内でなければメインを張れる仏像群を有しているが、片隅に追いやられている感が否めない。大物俳優なのに脇を固めるため目立たぬ演技をするような東院堂は薬師寺に行ったら必ず参拝してほしい。