国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

秋野牧牛図 伝閻次平 泉屋博古館

泉屋博古館はこの秋開催の表装の愉しみ -ある表具師のものがたりをもって、リニューアル工事に入る。2025年の春までしばしのお別れである。東京分館がおしゃれな作りになったのに触発されて、京都の本館もおしゃれに生まれ変わるのか楽しみである。

しばらく展示企画がないにも関わらず表装と地味なテーマとなっている。今年春に大和文華館で開催された染織品と松浦屏風 ―織物・染物・刺繍 いろとりどり―でも表装が取り上げられており、普段は表装にほぼ目を向けていないことを知った。その続きの展示会ぐらいに思って見に行ったが、さすが住友財閥と感じさせる内容だった。

和文華館は戦後に設立された美術館で、初代館長の矢代幸雄が作品の選択、収集を行った。対して泉屋博古館は戦前からの住友家の美術コレクションを保管・公開するために作られた。そのため、表装の中には手に入れた時に住友家好みのものに仕上げた美術品が存在する。佐竹本三十六歌仙絵切は断簡された絵巻物である。そのため、表装はついておらず、オリジナルを作らなければならない。そこにはセンスが問われる。住友家が購入した源信明像の表装には目立たない様に隠れ兎があしらわれている。その作業を行ったのが井口古今堂で、会場の後ろの方には古今堂の扁額や図案などを展示していた。また、住友家の住まいがあった慶沢園(現在も大阪市立美術館の裏側、天王寺公園内にある)に関する資料を公開していた。住友家が集めて、井口家など通じて美術品として質を高めたものが、泉屋博古館に移されて保管・公開されている。一旦はリニューアルのため休館するが、これから先も永続するという意気込みを感じた展示内容であった。

美術作品は40点あまりと小規模であった。国宝の秋野牧牛図もしばらくは京都の泉屋博古館では見ることができない。牛たちの長閑な雰囲気とそれを見る子供がなんとも牧歌的な図となっている。東山御物として足利家に重宝された品であり、茶会の掛け軸にはもってこいの内容である。

あと、ロビーにて黄天目銘・姤を展示していた。茶碗をキーワードにした美術館と博物館9館の割引連携プロジェクトの一環だが、ほかががっつりと茶碗をテーマにしている展示会なのに対して、少し強引な展示だが、割引を受けたのでよしとしたい。

国宝拝観者たちの夢、千件越えをいつの間にか達成した。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標が完結した。 次の1100件は果てしなく遠いので、1050件を一区切りにしよう。