国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

世説新書巻 第六残巻 文化庁


台東区書道博物館東博からも近い鶯谷駅が最寄りである。線路沿いにはラブホテルが並び、文化的な施設に訪れる目的で歩いていても後ろめたい気持ちになる。

書道博物館東京国立博物館はご近所ということもあり、同一の企画内容で連携して展示会開催していて、今回はその開始から20周年だそうだ。20周年の企画に相応しい内容として選ばれたのが、書道のど真ん中、王道中の王道、企画展「王羲之と蘭亭序」を両館で開催している。

王羲之は書聖と崇められる書の大家。普遍的な美しさを備えた先進的な書法で、唐の太宗がこよなく愛し、大陸全土から王の書を収集した。その収集への情熱は異常なまでで、今回のテーマにもある蘭亭序は王羲之が宴席で揮毫したもので、本人も認める最高傑作とされる。太宗の入手方法は強引だったようで、墓の副葬品とするぐらい熱中してしまったようだ。

そんな王羲之の書の真筆は全く見つかっていないが、太宗が作らせた摸本や拓本が残っている。日本にも国宝として、前田育徳会所蔵の孔侍中帖が模写ながら指定を受けている。

さて、東博での展示では三の丸尚蔵館所蔵の喪乱帖の展示を期待していたが、新規国宝指定を含めて貸し出しはなかった。その代わりではないが書道博物館では期間中に国宝の世説新書巻の展示があった。 世説新書巻は全部で4つ国宝の指定を受けているが、個人蔵以外の3つが期間を分けて展示される。展示される順に文化庁・京博・東博の所蔵で、あまり展示されないものなので、この連携20周年を祝しての展示なのだろう。

見に行った時は文化庁のものが展示されていた。2階の特別室、入り口から見て右側に陳列していた。中国史上・楷書の最高傑作ぐらいのあおり解説が書かれていたが、間違いなく美しい字体であった。(個人的には奉納用に写経された国宝経典も同じぐらい美しいと思う)拓本や王羲之の影響を受けた書家たちの作品が並ぶ中でも、ずば抜けて美しく、逆に言えば個性が全くないようにも見える。太宗が愛した文字の完成形をここに見た気がする。

なお、東博での展示は一部を除いて写真撮影がOK。この企画を両館で観ることで王羲之の偉大さの一部でも感じることができると思う。

国宝拝観者たちの夢、千件越えをいつの間にか達成した。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標が完結した。 次の1100件は果てしなく遠いので、1050件を一区切りにしよう。