国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

千手観音坐像 蓮華王院

蓮華王院こと三十三間堂は見どころが多いため、ついご本尊の存在を忘れがちである。

本尊は千手観音坐像で、千手観音でかつ坐像の国宝は葛井寺の本尊と三十三間堂の2体だけである。葛井寺の観音様は大きさ的には150cmに満たない(座っているため)が、三十三間堂の本尊は350cm超の大きさとなっている。他の仏像たちが大人の背丈ぐらいで作られているのに比べて、圧倒する大きさである。

作者(プロヂューサー)は運慶の長男・湛慶で、千体千手観音立像の制作でも数体作っている。湛慶の作品で千手観音坐像のみが国宝の指定を受けている。ほかに有名なのは高山寺仔犬の彫刻で、愛くるしい眼差しが玉眼によって鋭さを与え、いまにも動き出しそうな造りである。

さてここからは妄想の部類となる。三十三間堂本堂内の中心に鎮座している千手観音坐像だが、見に行った時も後ろの扉が開いていた。避難用に開けているのだろうが、もしかしたら後ろから光を入れて、西方浄土を演出するための造りなのかもと思った。千手観音坐像の背後が西で、正面には池泉式の庭園の名残りがあった。西日が入り五劫を思わせる仕掛け扉だとすると、千手観音坐像に当たった光が乱反射して千体千手観音立像を照らすことになる。プロジェクションマッピング顔負けのエンターテインメントとなるはずだ。アミューズメント観満載の寺である。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。