蓮華王院(三十三間堂)の風神と雷神は国宝彫刻物で同じ指定内にも関わらずかなり離れた地位で鎮座している。二十八部衆や千体千手観音立像を護るようにお堂の端と端に置かれているためだ。入り口近くに風神、最も遠い折り返しの場所に雷神がある。豪華な千手観音達や二十八部衆を見ながらだと、最初に見た風神のイメージを忘れてしまうほどの距離であった。
風神・雷神のイメージを決定づけた作品として知られ、俵屋宗達の風神雷神図屏風のモデルもこの像だったかもしれないそうだ。そう考えると屏風絵であることから、開いた先には千体千手観音や二十八部衆が鎮座しているイメージでゆったりとした空間使いに落ち着いたかもしれない。
彫刻は神様なのにかなり険しい表情をしていて、まるで鬼のようであった。この点は宗達のまん丸い目でユーモラスな表情とは全く違った。外敵から観音様を護るために厳しさを表現している。鎌倉期に作られた彫刻と、江戸時代に描かれた絵では世相の違いも表情に現れているのかもしれない。